×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -

「なまえは阿部君と水谷君といつも一緒にいるねえ」


私が一番の友達と思っているマナから、そんなことを言われた。もちろん嫌味じゃなくて、ただ単に事実を述べているだけだ。…だと思う。そう信じたい。彼女はそんなことをいう子ではないはずだ。

「べーつにいつも一緒にいるわけじゃないよお。だって今マナといるじゃん」
「ふふ、まあ、確かに」
「だってマナが忙しいんだもん!私ともっと遊んでくれればマナと一緒にいるのにぃ」
「なまえは帰宅部だもんねえ。なんか部活しないの?」
「うーん、もう2年の夏だしねえ」

いーかなあ、なんて思っていると笑いながら言うと、そっか、とだけ言ってマナはまたお弁当箱へと視線を戻した。マナは忙しい。私と違って、優秀だし社交的だ。生徒会の役員でありながら陸上部の新キャプテンでもある。そんなマナの高校生活は私のそれの何十倍もの密度があるはずだ。そんなわけで彼女は忙しいのだ。私と違って。
この時間もすぐに役員会に出席しなければいけないからと言って、足早に教室から去って行った。そんなわけでまた私は独りぼっちになるのだ。


「阿部ー水谷ートランプしよー」
「はー無理だし、昼寝する」
「まじでー!俺トランプするー」
「えー阿部寝ちゃうのーじゃあいいや。」
「ええっひどくねェ?俺もするって言ってんのに!」
「水谷うるさいーあんたも昼寝したらー?」
「えええみょうじひどいよぉ!」


私と、阿部と水谷。仲がいいというと、意外だね、なんてよく言われるけれど、実際仲がいいのかよくわからない。気が向いたときに集まる。その頻度が高いだけ。ただ、近くにいると楽なのは、本当だったけど。水谷がぎゃあぎゃあとうるさいのを背中越しに聞きながら、私はさっき買ってきた炭酸飲料をぐいっと口に入れた。まだ初夏だというのにやけに暑い教室の中で、唯一私の喉だけがひんやり冷たくなる。ゆっくり飲み下すと、喉で泡がパチパチと弾けて痛い