惹かれる者






「困ったな〜」

僕を見るなり気絶した女。失礼にも程があるよね。
帳の中は確かに人の気配は無かった筈なのに祓おうとした時に急に現れた。
しかもこの女は見えていた。
ん〜。硝子に診てもらうか。と彼女を抱き上げる。
「え、軽っ!」中身詰まってんの?と思う程に軽い。まじまじと顔を見る。伏せられた長い睫毛にスッと通った鼻、形の良い艶やかな唇。そして花のようなフワッと香る...成る程、これはヤバいやつだ。
伊地知を呼んでとりあえず高専に向かおう。

「硝子〜急患で〜す」
「今から解剖なんだけど...一般人?」
「ん〜そうだけど、そうじゃない。ま、手が空いたら診てやってよ」
「...急患じゃなかったか?」

硝子が解剖を終えた後、彼女を診てもらった。硝子に声を掛けられ医務室にはいる。

「どうだった?」
「呪いも受けてないし、異常無しだが…」
「だが?」
「顔と手足。見えるとこ以外、痣だらけ。日常的に暴力を受けている様だよ」
「DVってやつ?」
「まぁ普通に考えるとそうなるな」
「他には?気付いた事ない?」
「…コイツを診てると変に助けてやりたくなるというか…」
「そう!それなんだよね!彼女の呪力は惹きつける何かがあるんだよね!僕も油断してたらヤバかった」
「先に言えよ」
「メンゴ〜。同性に効くか分かんないから試させてもらったよ。DV受けてるのもこれが原因かもねぇ」
「はぁ。本当にお前は相変わらずだな」

伊地知に言って身元を調べさせてるけど、分かるまでは保護した方が良さそうだな。
ここに置いておくのも呪力のせいで無理そうだし、これは僕の家が一番安全かな。

「あ、伊地知!例の件なる早でお願いね!あと、僕明日休むからよろしく〜」

要件だけ伝えて通話を終える。まぁ何とかしてくれるでしょ。
さて。面白い拾い物したなぁ。これから楽しくなりそうだ。


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