桜並木の下でみかけた二人。 02.

それは、たまたま柳が彼女――夜桜と買い物に来て、
夜桜の控えめなわがままに付き合って桜並木に足を向けた時のこと。

春。なんていう、一番気の緩くなる季節で、
柳も夜桜も…誰しも例外なく気を緩めており、
しかも桜が満開に咲いている。
というおまけつきで余計に気が緩んでいた。


柳は夜桜とお揃いのネックレスを身に着け、
手を繋いで微笑み合いながら喋っており、
とても楽しそうだ。



そこで柳は見てしまった。
幸村と名前を。
しかも八部咲きの桜並木を歩いている所で。


思わず足を止めて、二人を凝視する柳。

そう…幸村と一緒に歩いている名前は
尻尾も耳も隠さず、歩いていた。


そこで少し前に聞いた話を思い出す柳。
それは、幸村の部屋で聞いたこと。

その日の幸村は少し怒っており
(だからといって微笑みを絶やすわけではないが…)
いつもと雰囲気が違っていた。

柳はその原因がなんとなく名前にあるような気がして、
幸村にさりげなく問いかける。
すると幸村はこう言った。

「名前は無自覚すぎるんだ。
耳と尻尾がある人間なんていないのに、
なんであの格好のまま、外にでようとするんだろうね」と。

柳は思わず、頷いてしまった。

たしかにそうだ。
耳と尻尾がある人間なんていないだろうと。

だが、しかたのないことだろう。とも思う。

名前はもともとは猫だ。
猫というのは
暖かいところに行きたがるくせ…というより性質がある。

それを咎めるのはどうかとついつい思ってしまう。

だが、幸村の言い分にも一理あるので、頭を悩ませる柳。

結局、家の中を自由に動き回っていいかわりに、
外に出るときは耳と尻尾を隠し、
尚且つ幸村かR陣(真田・柳・柳生・仁王・ジャッカル)と一緒に行動
という条件で許可が出されていた。

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