その笑顔はどんな花より美しくて 03.

それから週に何回か幸村先輩と花壇であった



今日も花に水をやるため花壇にいった



そこには幸村先輩はいなかった


別に会う約束をしてるわけではないので仕方ない


でも何故だろう


先輩に会えないだけでこんなにも物足りない



そんなことを考えながら花に水をやってると誰かが歩いてくるのがわかった



(…幸村先輩かな?)



そんな期待をしながら振り返るとそこには目が開いてるかどうかわからなくて長身の男の人がいた


その人は私の隣に腰をおろした



『あの…「どちら様で?っとお前は言う」…』


私は目が点になった

「俺は柳蓮二だ。」


思い出した。

彼は幸村先輩と同じ部活の人だ


『あの…柳先輩が私に何の用ですか?』

「いや、精市とよく一緒にいるのを見て興味が沸いて話しかけた」


『は、はぁ…』



柳先輩が私に話しかけた理由がいまいちわかんないけどとりあえずしばらく話してみた


すると柳先輩は私に幸村先輩のことを色々教えてくれた


『へぇ〜幸村先輩ってテニスが強いんですね!!』


「あぁ、今の精市に勝てるやつがいるなら見てみたいな」


『ハハッ、柳先輩は幸村先輩のことを信頼してるんですね』

「そうだな…あれは…精市」



『えっ幸村先輩』


柳先輩と話していると幸村先輩がこっちに走ってきた


「蓮二!!」



「精市どうしたんだ?そんなに急いで」

幸村先輩は何故だか珍しく焦っていて


柳先輩を何も言わず睨み付けていた


「フッ、邪魔者は去れということか」


そう言うと柳先輩はその場を去っていった



『幸村先輩そんなに急いでどうしたんですか?』



「名前さんは蓮二と知り合いなのか?」


『?いえさっきここであっただけですけど?』


私がそう言うと幸村先輩は安心したようだった


『あの幸村先輩?』

すると幸村先輩はしゃがみこんで花にそっと触れた


「傷つけたくなかったから…ずっと大切にしてきた…」


(花のことかな?)


幸村先輩はゆっくり話を続けた


「でも本当は逃げてたんだ。失いたくないから…失うのが怖いから…ずっと言えなかった」

幸村先輩は立ち上がり私と向き合った


「それはたんに逃げてたんだ。…でも、もう逃げるのはやめた」

『…幸村…先輩…』


幸村先輩と私の視線が交わる




「好きだ」
私は自分の耳を疑った




「名前さんのことが大好きだ、失いたくない」



幸村先輩の手が背中に回され抱きしめられた


このまま時が止まってしまえばいいのに


そう願ってしまう私がいた



「よかったら名前さんの気持ちを聞かせてほしい」



『私…私も幸村先輩のことが…好きです。…たぶん…初めてあったときから…』




私の声は妙に小さくて消えそうだったが
幸村先輩の耳には確かに届いた



「よかった…」


幸村先輩はそっと体を離すと
私に笑いかけた


その笑顔は



どんな花にも負けないくらい



美しかった

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