03
「あれ?何で俺がペカチュー好きって知ってたんだろ?」
ペカチューを筆箱に付けている最中にフと疑問に思った。
いくら考えても、野口にペカチューが好きって言った覚えがない。
「何で知ってたんだと思う?」
「……あ、俺が言ったかも。」
「……なるほど。」
池内に尋ねてみたら、あっさりと解決した。
「マナト、これグッチーから。」
「……なにこれ…、」
別の日、池内から小さな箱を渡された。
箱には『ペカチュー巾着袋ミニ』と表記されていて、医薬品とのコラボらしい。
パッケージには、天使のペカチューがプリントされた巾着袋の写真が載っていた。
「えぇ…、」
ちょっと反応に困る。
でも嬉しくてニヤケてしまった。
「マナト良かったな!」
一応隠した筈のニヤケ顔はバレバレだったのか、微笑ましく笑われる。
「……うんっ!」
「うんって…!可愛いなぁ〜。」
素直に喜んで見せたら、更に目を細める池内に気恥ずかしくなって「うるせぇ」なんて荒い口調で返した。
「あ、」
箱を開けようとした時に、箱の裏側に書かれてある文字に気が付いた。
裏にはマジックで『捨ててもいいよ。格好いい人グッチーより』と書いてあった。
「…捨てる訳ないし。」
野口は不思議だな。
後から後から人を喜ばせる。
ちょっとした言葉が嬉しかったりして。
俺はまたニヤケながら『箱ごと取っとくよ、大切にします』とメールを打った。
to be continued..
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