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「で、今日グッチーって奴がさぁ‥」
「グッチーって?」
「クラスメートの奴!」
野口を初めて知ったのは二年生に上がってからの事だった。
「で、そのグッチーってのが面白くてな!いっつも無表情でクールキャラなのに天然?っつーか?」
「へぇ〜‥よく分かんないけど、」
野口を言葉で表すのは難しい。
俺なんかは普通の一言で片付くけど、野口を説明するのに時間が掛かる事は今の俺にはよく理解できた。
「マナト、こいつがグッチー」
「初めまして、グッチーです」
紹介されたグッチーこと野口は凄いイケメンだった。
その野口が無表情で「グッチーです」と警官の様なポーズを決めている姿が、今でも脳内によく残っている。
何というか、シュールで残念な残像。
そんな出逢いの後。
特に接する機会も無かったが、池内の口から「グッチー」と言う人物が頻繁に出てくるようになった。
「グッチーがさ、」
「うん、あの格好いい人ね」
俺がグッチーと呼ぶのは関わりもないし少し抵抗があって、代わりに「格好いい人」と呼んでいた。
いやだって格好いいし。
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