04
「あいちゃんだ。」
「ん、マナト?…今日はよくこっちに来るよなぁ、何かあった?」
「別に、」
「…あー、何か甘い香りする!」
「……、」
俺が喋る度にイチゴミルクの香りを振りまく事になるんだな。
しかもこういう時に限ってお茶がない。
無意識にふてくされてしまった。
「あいちゃんイチゴミルク食べてるんだ。」
「…もう食べ終わったよ。」
「マジかぁ…じゃもう一個あげる。」
「いいな!グッチー俺にも頂戴!」
野口が俺にと差し出していた飴が、自然な流れで池内の手の中へ収まった。
ちょっとムカ、
…なんて可笑しいな。
「イチゴミルクか……うわ、あっめぇッ!」
本当は俺の飴だったのにって思いつつ「あまい」と言う池内の言葉に「助かった」とも思った。
どっちだよ、って自分で自分にツッコミたくなる。
「あいちゃん、」
「ん?」
差し出された手から反射的に受け取った。
「…あげる。」
手の中を見れば飴が二つ。
「…なぁ、俺さ。さっきの授業中、口ん中甘過ぎて死ぬかと思った。すげぇ苛々した。」
「‥そか。まぁ、カルシウム取りな、」
「さっきからなんだよそれ、」
「ぷはっ!グッチーの優しさだって!!有り難く受け取っとけ!!」
池内が可笑しそうに笑うからムッときた。
取り敢えず池内の頭を軽く叩いて、教室に戻る事にした。
「飴ありがと、気が向いたら食べる。」
「おー。頑張れ。」
無表情でグッと拳を作り頑張れのポーズをする野口に自然と笑って返した。
「何を頑張るんだよ。」
手の中にある飴が二つだって事が嬉しかったりして。
ふあふあ甘い気分。
to be continued..
prev ×