小説 | ナノ


▼ epilogue

家に帰った早々、「今日は遅かったな」と部屋の奥から声がした。

「……これでも今日は早い方だけど」
「フッフッフッ! そりゃそうだよなぁ!」

部屋からドフラミンゴが出てきたかと思うと、スルリと擦るようにローの腕に手を回す。やっぱりこいつか、と心の中で舌打ちをする。
不快感を隠さず冷たく払いのけ、ローは階段を登ろうとした。

「おいおい。身体が疼いて仕方ねぇんじゃねぇのか?」
「別に。いたって普通」
「つれねぇなぁ。泣きながら強請るお前の姿が見れると思ったんだが……」

そう言うとドフラミンゴはローの肩を掴んで自分の胸元へ抱きしめる。
背中に熱い体温を感じ、 指先が頬をなぞりあげ、ブルリとローの身体が震えた。
その様子を愉しむように今度は耳の裏に口をつけると、優しく囁いた。

「赤毛のガキと仲良くするために盛ってんじゃねぇんだよ」

頭から爪先まで冷たい針が刺さったように身体が凍る。
黙ったままだと認めることになるので「んなわけねぇだろ」と震える声を抑えて返した。
それでも離さないまま、ドフラミンゴは力強くローの唇を塞ぎ、空いた手でローのピアスを外す。
いつだって情事の前はこうだった。
ここまでくると自分が何を言っても無駄なことをローはよく知っていた。
ヌルリと熱い舌が全てを上書きするかのように絡みつくのを感じながら、それでも瞼の裏に彼の顔を描く。

歪んだ夜が幕を開けた。


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