ご主人様とおれ1

※高校生


「ここって…」

見覚えのある建物を前に、天馬は立ち尽くす。忘れるはずもない、こんなお城のような家。




天馬は高校生になり、アルバイトを始めることにした。いつまで仕送りや、秋にばかり頼るわけにも行かない、と考えたのだ。幸運にも、天馬は秋の手伝いで、掃除洗濯裁縫から料理、なんでもこなせるようになった。
そしてある日、高時給アルバイト求人で目にしたのは、使用人のアルバイトだった。所謂、邸宅等の召使いだ。時給はなんと1500円。高校生には充分過ぎる。しかも条件は家事をこなせる人。天馬は迷わずこの仕事を選んだ。
使用人試験を受けた天馬は、手先の器用さからすぐに採用された。使用人は派遣制で、天馬は高校生とあり、家から一番近い仕事場に派遣してもらえることになった。


そして来たのが、見覚えのある豪邸であった。

(…やっぱりここは…)

そう思った瞬間、誰かに声をかけられた。

「松風天馬さんですね?お待ちしていました。私はこちらで働いている者です。中へどうぞ。」

にこり、と笑ったのは、真っ白なフリルのエプロンを纏った、いかにもメイド、といった感じの女性だった。
天馬は女性に案内されながら中に入る。長い庭を通り、屋敷を使用人用の出入り口から入る。使用人の控え室のような場所に通されると、女性が天馬を椅子へ座らせた。

「今日から早速働いていただきますが…松風さんは男性なのですか?」

「はい」

「うーん…どうしましょう…困ったわぁ……拓人様のお洋服をお貸しするわけにも……」

女性が発した名前に、天馬は確信した。

(やっぱりキャプテンのお家だ…)

少し認めたくは無かったが、そもそも歩いて屋敷の前に来る以前にははっきり気付いていた。

天馬がそんなことを感じている間に、女性はうんうん唸り何かを考えながら天馬をちらちらと見ていた。

「あの…何か?」

「…松風さん、すみません。私たち使用人は必ず同じ制服を着用しているんです。それがその…今私が着ているものなのですけど…松風さんにもこれを着ていただいて良いかしら?」

天馬は、これ、と言われ、女性の服装を見る。真っ白なフリルのエプロン、黒いロングスカート、白いタイツに茶色のローファー。紛れもなく、メイド服。

「えっ……えええええええ!!!」

松風天馬の受難の始まりだった。



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やぶてん天馬設定であらぶった

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