高嶺の花/ベクター皇子
「大きくなったら、けっこん、して、ください。あなたをお妃にします。」
「ふふふ、大きくなっても、同じことを言ってくだされば。」
「どうして、私はずっと貴女が好きで、ずっと同じ思いでいたのに。」
「皇子、お控えください。身分をお分かりでしょう。私はただの乳母です。皇子のお役目はなんですか。相応しい姫君を妃に迎えることです。」
「……テメーら、こいつ、牢に繋いでおけ。好きにしていいぞ。」
「は、畏まりました。しかし、本当に良いのですか。」
「ンー、なんでェ。」
「王が幼少より執心して止まなかったお方……。」
「好きにできるってわかったら、どーでも良くなった。」
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