始まり、終わり、愛 日が沈み、闇が「彼」を誘う。 紅く鋭い目。 血を求める目だ。 街へ行き、手頃な人間を捕まえて食事を済ませる。 ふと気がつくと、昨日「少女」とであった場所に来ていた。 なにかが「彼」の服の袖を引っ張った。 鋭い目でその方をみると、昨日の「少女」だった。「彼」の目付きが和らいでいく。 二人はそのまま吸い寄せられるように抱き合った。 それから「少女」は「彼」の家で暮らし始めた。「少女」は病院から逃げ出したのだ。 「彼」と一緒にいるために。 「少女」は声が出ない。 病気のせいで、声がでないのだ。声だけでなく、体も、少しずつ動かなくなってきてい る。 そんな「少女」を気遣う「彼」 「彼」の優しさすべてを受け入れた「少女」 「彼」は「少女」を「少女」は「彼」を愛し始めていた。しかし、互いを愛しいと想えば想うほど、悲しみが生まれる。 「彼」の時間は長い。 「少女」の時間は短い。 一緒にいられる時間は少なすぎる。 それでも二人は愛し合っていた。離れたくない。失いたくない。 [mokuji] [しおりを挟む] |