1/3


「…今、何と…」


愛してるということ



執務室で張り詰めた空気が流れる
アキラは今目の前にいる男に言われたことに戸惑いを隠せなかった―――





***

シキの異変に気づき始めたのは今からちょうど一週間前のこと。
今までは毎日毎日誘われて…にしろ、無理矢理…にしろ身体を繋げない日はなかった。
次の日に支障が出るから、とアキラはやんわりと拒んでいたが、シキの命令となればそれも無意味だった。

「んっ…ぁ…ッ!!」

アキラが果て、それに続くようにアキラの中でシキも果てた。
…そこまではいつものこと。

乱れる呼吸を整えようと深呼吸をしていると、シキは中のモノを引き抜くと何も言わず風呂場に行ってしまった。

「…?…総帥…?」

シキが出した白濁が下肢を伝い、違和感を感じ眉を寄せたが、違和感と言われればもう一つ、

「今日はもうお疲れになられたのか…?」


そう、いつもなら一回だけでは済まされなかった。
呼吸も整わない状態で、すぐさま身体を揺さぶられるのだ。
それなのに今回は違った。アキラは心の中で『たまたま偶然…』と思っていた…


そんなことを考えていると、隣のバスルームのドアが開きシキが出てきた。


「アキラ、起きているのか?」


バスルームに背を向けていたため、アキラは気だるい身体をゆっくりと起した

「えぇ。あの…総帥…」

「…なんだ」

聞いていいものか、と一瞬躊躇ったが、勇気を振り絞って訊ねた

「今日は…体調が優れないのですか?」

「そんなことはないが…どうして聞いた」

「いや、それが分かれば十分ですので…ッ!」


シキはアキラの横たわるベッドに腰掛けるとアキラの顎をとった
アキラは気づかなかっただろうが、顔が真っ赤だった

「顔が赤いぞ」

「え、あ、いや…恐らく照明の加減で…」

「誤魔化すな。…なんだ、俺が体調が悪いように見えたのか?」

シキの赤い目がじっとアキラを射抜く。
アキラはシキから目を逸らして小声で言った


「今日は…これで満足なのですか…?」

少し泣きそうな顔でシキを見る
予想外なことを聞かれたシキは目を大きくした。

「…誘っているのか」

「そんなこと…ッ…ん…」

最後まで言いきる前に、言葉を紡いでいた唇はシキによって奪われていた。

少し開いたところからシキの舌が入り込む。
それだけでアキラの身体は熱くなった。

飲み込みきれなかったどちらのものか分からない唾液が口端を伝い、それをシキが舐め取った。
息も出来ないほどの口付けに意識がぼんやりしていたアキラの額に軽くキスを落とし、

「明日の任務に支障が出る…のではなかったか?」

と、口端を吊り上げて言われた。
アキラは再び顔を赤くした。


「今日はもう休め。」

「…はい…」

軽く頬を撫でられ、シキは寝室の隣の執務室へ行ってしまった。

深く溜息をつく。恥ずかしいことを言ってしまった自分に自己嫌悪した。
それでも、シキの体調が悪いわけではないということを知ったアキラはそっと目を閉じた………



_



[*前] | [次#]
戻る
topへ



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -