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「シキの馬鹿!キライ!」




立ちと嫉妬





「いつまで貴様は寝ているつもりなんだ」


遠征先から帰って来たシキは呆れ顔で自室のベッドで横たわるアキラに声をかけた。


「俺が遠征から帰ってくるといつもこれだな。そんなにを躾してもらいたいのか。」

「…違う」


一糸纏わぬ姿のアキラはふて腐れた顔でシキを見た。
明らかにシキが帰ってくるまで城の兵士と『そういうこと』をしていたとを思わせるような雰囲気を醸し出していた。


「だって…シキが…」

「俺が何だと言うんだ?」

シキがアキラに触れようと手を伸ばした。…ところが、




パンッ!!




…一瞬、何が起きたのか理解できなかった。
アキラがシキの手を跳ね除けたのだ。


「…触るな…」

「……」


毎回、仕事を優先され、アキラのことを全く構っていなかったということにストレスが溜まっていたのだ。
アキラは一言だけ言うと布団を深く被り黙り込んでしまった。

シキは溜息をつくとふて腐れるアキラを尻目に部屋を出て行った……





シキが居なくなりひょっこりと布団から顔を出す。

「…シキが悪いんだから…」

独り言をぼそっと言い、再び布団を被ったのだった……



***


「…様…シキ様?」

「…あぁ、どうした?」

「…どうかなされましたか?さっきからぼーっとされているので具合のほうでも悪いのではないかと。」

「…何でもない。」


そう言ったものの、先程のアキラの行動に戸惑いを感じていたシキ。
いつもならそんなことはしない。自分に触れられることを常に心待ちにしているのに、今回は拒否されたのだ。
どうせいつもの『構ってくれない症状』が出ているのだろう。…と思うも、あんな目で見られたのは初めてで、気持ちがモヤモヤして午後の仕事にも全く手が着かなかった。



結局、その日はアキラが居る自室に戻る気にもなれず、別室を使って寝たのであった………







シキが城に居て、夜にアキラと身体を交えないことはほとんどない。
朝も浮かない気分で着替えを済ませ、部屋を出た。



「シキ様、ちょっと」

会議室で兵士の一人がシキのネクタイの曲がりを直した。その兵士もシキの異変に何かを感じながらも振れないようにしていた。
ただ、「大丈夫ですか?」と一言だけ声を掛けたが、「あぁ。」とキレのない声で相槌を打った。



他人から心配されたのは初めてかもしれない…



シキはそう思った。


自分の衣服に触れてきた者もいなかった。そう、アキラ意外は。
いつもと違う態度をとられただけで動揺してしまう自分がここにいる。

「…俺はどうしてしまったんだ…?」


兵士が目の前にいるにも関わらずボソッと呟く。

「具合でもよろしくないのですか?…もしそうでしたら…「大丈夫だ。」

それだけ言うと自分の席に着き、会議を始めたのだった。





…そんな様子を影からアキラは見ていた。
アキラからはシキが他の兵士と仲良く話しているようにしか見えなかった。


(…なんだよ、あれ…)


アキラはそんな姿を見て泣きそうな顔をしながら部屋に戻ったのだった……






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