第9話 思い出のシラトリザワシティ




「うわあああああああん!!! 負けたぁぁぁーーーっ!!!」ビエエエン


「きゅーん……」シュン


「いつまで泣いてんだアンタ、もう夜なんですけど」


「だって、だって〜っ…! こんなんじゃ、チャンピオンに勝つなんて、夢のまた夢だよ〜っ…ぐすん…」ズビッ


「あーほら鼻水出てる、とりま鼻かめや」


「ぶ」


「ぐずっ、ありがと……」


「けど、なんでリリはそうチャンピオンにこだわんの? チャンピオンなんて、雲の上の存在じゃん」


「話すと長くなるけどね……。わたし、3年前にカラスノタウンに引っ越してくる前は、シラトリザワシティに住んでたの」


「え、初耳。シラトリザワシティって、あのデカすぎるうえに、ホクトー地方にろくな街がないからって、ポケモンジムが3つもあるっていう大都会シラトリザワシティ?」


随分と説明的なうえにディスが入るね、ミドリ! ま、まあそうなんだけど、わたしの幼馴染が、その3つあるうちの1つの、ジムリーダーだったんだよ! おまけに、歴代最年少でジムリーダーになった、すごいトレーナーなの!」


「へー、そんで?」


「わたし、昔は身体が弱くて、ポケモンを持たせてもらえなかったんだけど、その人は自分のポケモンをわたしに貸して、ポケモンバトルを教えてくれて…。ああ、ワシボン元気かなぁ〜…」


「話してる途中で思い出に浸んな、そんで?」


「いいじゃんよ別にー! それで、いつかちゃんと自分のポケモンを貰ったら、その人と本気のポケモンバトルをするって約束をしたの! そしたら去年、その人がポケモンリーグのチャンピオンになったんだよー!」


「え、じゃあ今のチャンピオンの『ウシワカ』って、リリの幼馴染なの?」


「そう! ワカちゃん、相変わらずひこうタイプ好きで、タイプ統一で先代チャンピオンに勝っちゃったんだから、凄いよね〜! でも私だって、絶対に負けないんだから、ねえイーブイ!」


「きゅ!」


「はーん、意外な繋がりがあったわけだ。ま、チャンピオンに勝つとか、高すぎてエグい目標掲げてるからには、ダイチさんには勝っとかないとね」


「そう! だから明日からイーブイの特訓、頑張らなきゃ! というわけだから、明日は朝5時にポケモンセンター前に集合ね、ミドリ!」


「は? なにそのド早朝?」


「ポケモンセンターは24時間営業だから大丈夫! さ、明日も早いからもう寝よ、イーブイ!」


「ぶーい!」フリフリ


「待てや、っつーかなんでわたしまで特訓に付き合わなきゃ……。ってもう寝てる……カビゴンかよ……」


「ぶきゅ……」ゲンナリ







・ウシワカ
ポケモンリーグホクトー支部の現チャンピオン。ひこうタイプのポケモンを主に使うトレーナーだ。リリの幼馴染で、昔から凄く強いポケモントレーナーだったらしいぞ。





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