謎ノ呪2
「うわっ……!!」
俺は思わず小さく叫んだ。その絵には、まるでこちらを見るかのように正面を向いた、黒い着物を着た黒髪の女が描かれていた。真っ黒に塗りつぶされているその虚ろな瞳は、それは異様な気味の悪さを感じさせるものだった。子供がクレヨンで描いたようなタッチと、そこに描かれているものの温度差が、より一層不気味さを増している。俺はすぐにリンクから戻って、あの黒一色の瞳から逃れた。
68 名前:世にも奇妙な名無しさん
>>67
gyaaaaaaaaaaaaaaaaaa
69 名前:世にも奇妙な名無しさん
>>67
ふざけんな
ふざけんな
71 名前:世にも奇妙な名無しさん
>>67
絶対に許さない、絶対にだ
73 名前:世にも奇妙な名無しさん
>>67
画像を見る勇気が無い漏れに誰か三行で
75 名前:世にも奇妙な名無しさん
>>73
黒い着物の女
グロ
ブラクラ
76 名前:世にも奇妙な名無しさん
>>75
女か?と思ったけど、髪長いし女と見るのが普通か
78 名前:世にも奇妙な名無しさん
>>67
どっかで見た子供の絵で、家族だけカラフルな色で塗られてんのに自分だけ黒一色に塗られてる絵を思い出した
80 名前:>>1
やっぱり気持ち悪いよな、この絵。
これを俺が描いたもんだと言われた時は怖くて仕方が無かったわ。
82 名前:世にも奇妙な名無しさん
>>80
捨てないの?
俺が掃除中にこんなもん見つけたら即効で燃やして無かったことにするけど
83 名前:>>1
>>82
捨てようとしたんだが、そうすると妙に喉が渇いてくるんだ。
これスキャンしてくる時も喉が渇いてきて、アクエリ3本買ってきた。
それが怖くて、今は元あった場所に封印してる。
85 名前:>>1
黒子ちゃんのことはいまだに謎だ。
母親に聞いてみたんだけど詳しくは教えられなかったみたいで、唯一知ってそうな祖母ちゃんは死んじゃったし。
あの山の麓にあった大きな神社の神主さんに聞いてみたらわかるのかもしれないけど、あのことがトラウマで積極的にはあそこには行きたくない。
なんであんな小さい女の子が、あんな山の中にいたのか。
あの子は俺が見つけた、あの謎の神社に関わりがあるのか。
記事はそこで終わっていた。俺は強張った手で、そのブログを閉じた。
もう一度見る勇気は無かったが、俺はあの女が描かれた絵を思い出してみる。長い黒髪に、黒い着物と赤い帯。真っ黒な眼からは同じように真っ黒な涙が流れていて、これまた真っ黒に塗りつぶされた口がぽっかりと開いていた。思い出しただけでゾッとするような、そんな不気味な絵。
(……そんなはずがねえ、そんなはずがねえんだが……。あの絵に描いてあった女が、俺には水無瀬に似ているように見えた)
明らかにまともな人間とは思えないような姿だったあの絵とは違い、水無瀬は変わってるだけで普通の女子だ。ああ見えて付き合いは良いし、それに何より優しい心の持ち主だ。だが、俺はどうしてもあの絵の女の黒髪が、水無瀬のそれとダブって見えてしまった。
その時、部屋のドアが勢いよく開いたので、俺は死ぬほど驚いて振り返った。このクソビビるタイミングで、及川がクソから戻ってきたようだ。及川は何故か2つのアイスを手に持って、嬉しそうに俺の部屋に入ってきた。
「おじちゃんがアイス買ってきてくれたんだってさ〜! 冬に食べるアイスもオツなもんだよね〜! はい、これ岩ちゃんの分!」
「クソ川死ね!!!」
「なんで!? アイス持ってきてあげたのになんでそんなご立腹なの!?」
八つ当たりに及川に向かって枕を投げると、及川は困惑した様子で枕を受け止め、俺にアイス(雪見大福だった)を渡した。むしゃくしゃした俺は怖さをまぎらわすように、親父が買ってきてくれたらしいアイスの封を乱暴に開ける。及川は最初こそ俺の様子を不思議がっていたが、すぐにその理由に気付いたらしくニヤニヤと笑いながら俺に枕を返してきた。
「はは〜ん、さてはさっき見てたのが怖かったんだ? 俺がいなくて1人だけで見たんだもんね〜!」
「うるせえ、後でお前にも見せてやるから覚悟しておけ」
「えっ、なにそれイヤだ! 俺を巻き添えにしようとしてる!?」
「てめえ、普段から俺を『阿吽の呼吸』やら『親友』やら言ってるだろうが。ダチなら道連れになりやがれ……!」
「イヤだーーーっ!! 岩ちゃんなにを見たのさーーーっ!! 怖いよーーーっ!!」
アイス片手に叫ぶ及川を見て、俺の恐怖心もだいぶ薄らいだ。
これは現段階の俺の推測で、本当のところはまだわからないが、おそらくあの話に出ていた『黒子ちゃん』というのは水無瀬のことなんだと思う。通りがかりの子供を助けるところといい、通りがかりの及川に呪われていることを教えてくれ、そして助けてくれた水無瀬にそっくりだからな。
そして、『黒子ちゃん』に案内されて辿り着いたという『麓にある神社』は、清水神社のことだろう。清水神社はこじんまりとしてはいるが立派な神社だし、実際にあの辺りの山の麓にある。そしてたくさん飲ませられた水というのは、及川も世話になっている手水舎の水のことだろうと思う。
だが、これで水無瀬の謎が明らかになったわけではない。むしろ深まったばかりだ。なぜ、4〜6歳の幼い水無瀬が山の中にいたのか。あの話をしていたヤツが死にかけた、謎の神社というのは何なのか。清水神社や水無瀬と関わりがあるのか。
そして、あの絵の女。どことなく水無瀬の面影を持ったあの女は、一体なんなのか。人間なのか、神様なのか、それとも全く別の何かなのか。今の俺にはなにもわからない。
だが、少なくとも確かなことは、だからといって水無瀬を怖がるようなことはないということだ。水無瀬は変わり者で、及川の救世主で、そしていい奴だ。俺にとって親しみのある後輩だということには、変わりはない。
だから、俺は待っている。水無瀬がいつか、自分のことを話してくれる日が来ることを。そしてそれは、多分そう遠くはない未来のことだと、何となくだがそう予感していた。
謎ノ呪・終
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