Visibile ferita

 深海の世界で



「あ! え、じゃあここって」
ジューダスの声に周囲を見回したカイルが、小さく声を上げる。
様子を見守っていたリアラが目を小さく視線を落として、呟いた。
「もしかしてここは、海底洞窟…?」
リアラのその声に、ジューダスは頷く。

「……」
そのやり取りを最後に沈黙が下りる。全員が萎れた花のようにしょんぼりした空気を漂わせて静かになってしまった。
何かなんだか呑み込めていないのはフィアだけらしい。


「あ、あのさ……ここ、なんか、あるの…?」
恐る恐る尋ねると、リアラとカイルがはっとした様子で目を見開いた。
そして怪訝な顔をしていたロニとナナリーも、遅れて焦ったような顔を見せる。

「……フィア、」
冷静なのはジューダスだけだった。
彼はフィアの前までやってくると、肩に手を置いた。真剣そのもののアメジストが目前に迫る。
驚いて少々身構えると、彼は静かに口を開いた。

「今から、君は衝撃的な光景を目にすることになる。」
「え……?」
「だが、これは事実。本当にあったことだ。それを忘れないでくれ。」
「ど、どういうこと……!?」
すぐに離れていった背中に疑問を投げかけたが、彼は答えず洞窟の開けた場所に視線を向ける。
疑問に思ってそちらを見ると、そこには――かつて一緒に旅をした仲間たちが立っていた。



「見れば、わかる……」
そう言ったジューダスの双眸はひどく悲しげだった。
何がなんだかわからず、フィアは背後を窺う。しかしカイルやリアラも悔しそうに視線を逸らした。

「また、あれを見ないといけないってことかい…」
ナナリーがそう呟いたのと同時に、向こうでスタンが声を張り上げる。
「リオン! そこをどけ!」



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