Disapper tear

 彼と彼女のゴシップトーク






「なんとしても神の眼を探し出せ…どんな手段を使っても、だ」
「はっ!」
「アリア、お前も行ってはくれまいか。」
「もちろんです、王の命令とあらば。」
そう言った王の表情はかなり深刻そうで、アリアは人知れず小さな溜め息をついた。
リオンは深々と頭を下げて王の声に返答する。続いて王はこちらにも心配そうな視線を向けてきた。
それに頷き、リオン同様アリアも返事を返す。

その光景に背後のスタンたちが驚いたような様子を見せるのと同時に、一人の兵士が駆け込んできた。



「アリア様!」
「え、」
いきなり名前を呼ばれたことに驚き、アリアが顔を上げればそこにいたのは飛行竜の任務で一緒になった兵だった。
良く見れば彼は最後までポッドを守ろうと奮闘していた兵士ではないか。

「あ…あんたあの時の……」
「ご無事で何よりです!」
アリアの声ににこりと人のよい笑顔を浮かべ、兵士は小さく頭を下げた。
そしてすぐに失礼します、と前置きして王に向き直る。


「報告致します。たった今、魔の暗礁でまた船が怪物にやられたとの知らせが入りました。」
「何、またか。」
スタンが間抜けな顏をしているのが見えた。ルーティが教えているのだろうか、耳打ちしている。
しかしいくらルーティが分かりやすく説明したところでスタンの頭には入らないだろう。

(スタンの頭は幼児並、か。リオンの言ってたことって案外当たってるかも。)
苦笑したところでリオンがスタンたちの所に戻ったので、アリアもあの兵士に手を振る。
兵士も満面の笑顔で会釈をしてくれたので、アリアの心は弾んだ。
そのままスタンたちのいる場所まで戻るとリオンがアリアに気付いてスタンたちを振り返る。




「僕はヒューゴ様にも報告に行く。アリア、聞き込みを頼む。」
「うん。」
「くれぐれもその馬鹿どもから目を離すなよ。」
「……はぁーい。」
アリアはリオンの顔を見て、気の抜けるような返事をした。
リオンの眉間が寄ったが彼はそんなことを気にせず、踵を返してヒューゴ邸に向かう。青色のブーツは羽根でもついているかのような軽さで煉瓦を打っていた。


(やっぱ、リオンをあんな顏にさせることが出来るのは…)
あのひと、だけなのかな。
小さくなっていく桃色を見送り、アリアは聞き込みをすべく港へ向かう。
その赤い双眸に、悲しい色を浮かべていることなんて気付きもせずに。



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