Disapper tear

 静寂の中で思うのは







一晩を森で過ごした一行は目的地、ストレイライズ神殿に到着した。
だが、建物は瓦礫と化し、そこここに散らばっている。


「妙だな…」
「うん…あんたもそう思う?」
ルーティが珍しくリオンに賛同した。それを見てアリアは目を見開く。
珍しいこともあるものだ、明日はきっと槍が降ってくると胸中で呟くが声に出していないので誰にも小突かれずに済んだ。



「モンスターを怖がったお客さんが居ないのは仕方ないにしても、人の気配がどこにもない…。」
「ん? アレは…?」
スタンが近くの瓦礫の山に何かを見つけたらしい。しかし一瞬にして顔を青くしたスタンは、口元を覆って視線を逸らす。
アリアも彼の見ていた辺りに目を凝らしてみた。瓦礫の山に貼りついていたのは真っ白な骨。


「…人間の、ものだね……」
近くまで行くと、既に白骨化しているのがわかった。肉や臓器はモンスターに食べられてしまったのだろうか。
静かに両手を合わせて、アリアは目を閉じた。少ししてからその骨についていた布を貸してもらう。すべすべした素材で出来ていて、一般市民は着そうにない衣服の切れ端しのようだ。


「……神官服だな。」
隣まで来ていたリオンがそう言って他の瓦礫にも目を向けた。そして近くにあった骨の前まで行くと、十字を切って黙祷する。
目を開けた彼はそっと手を添えてその骨の服を確認した。

「どう?」
「やはり神官服のようだ。」
予想通りのリオンの返答にやはり何かあったらしいと結論付けると、アリアは神殿に視線を向ける。
それは他の面々も同じだったようで、皆同じく神殿を見ていた。



「中へ入るぞ。」
リオンの声に、全員武器を抜く。
スタンがいち早く駆け寄り、ドアに手をかけた。




「!!」
「アリア、どうかしたか?」
開いたドアの向こう。そこにはさらにドアが存在し、その奥から小さな気配を感じた。

「…アリア、何か気配があるのか?」
「うん。そこのドアの向こうにひとつだけ。…でも、」
足を止めたアリアに気付いてくれたらしいマリーが声をかけてくれる。他のメンバーも何事かと足を止めた。
アリアの行動の理由が分かっているリオンが、こちらに歩いてくる。


「本当に弱ってるみたい。すっごい小さい。……いや、弱い…かな。」
霊感やら第六感とでもいうのだろうか、アリアはそう言ったことがとても優れていた。
生まれやら育った場所やらは覚えていないが、この力だけは自分が生まれ持ったものであるということが分かる。

『結界石を破壊しましょう。そうすればこのドアは開くはずです。』
『散らばった方が効率も良いだろう。手分けした方がいいのではないか?』
「そうだな……結界石は全部で五つか。では一人ひとつ壊してくればいいな。」

シャルティエとディムロスの声にリオンが頷いた。それに皆同意する。
全員に手を振ったアリアは扉を開けて神殿内へ入ったのだった。

 


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