Disapper tear

 海月はまどろむ



 

「ふう、すぐに帰れるかと思ったらそうも行かなかったなぁ。」
「神の眼が封印されるのを見届けないといけませんでしたからね。」
「ソーディアン諸君の助言のお陰で万全の封印設備を作ることができたよ。今後は我が国とセインガルド、両国の軍も駐留させる。安心してくれ。」
神の眼をダリルシェイドまで運び、王に納めて、そして封印されるのを見届けた一行は街まで出てきていた。

『この時代にやれることはすべてやった。後は信じるしかあるまいて。』
『そうだな……』
スタンの声にフィリアとウッドロウがにっこりと笑顔を浮かべる。
続いてクレメンテとディムロスが言った。



「それでは私とチェルシーはジェノスを通って帰国するよ。」
「スタンさん、またファンダリアへ遊びに来てくださいね。」
「城にも気軽に立ち寄ってほしい。君たちならいつでも大歓迎だ。マリーさんたちのことも任せてくれたまえ。」
「俺、きっとまた二人に会いに行きます。どうかそれまでお元気で!」

スタンに一声かけて、ウッドロウとチェルシーは歩いていく。
それに手を振ってアリアはスタンを見た。彼はきらきらと明るい表情で、二人を見送っていた。


「では私もそろそろ、神殿に戻るといたしますわ。」
「フィリア、本当に大変だったね。お疲れ様。」
「とんでもありません。終わってみれば楽しい旅でしたわ。神殿の中しか知らなかった私には外の世界を知るいい機会になりました。皆さんがきっかけを下さったからですわ。感謝しております。」
「こちらこそ、フィリアのお陰で本当に助かったよ。」
「それでは、ごきげんよう。」

当然ながら、二人の会話を邪魔するような無粋な輩はここにはいない。
カノンも進む会話をそのまま見守り、いつも通りの笑顔を湛えていた。

フィリアがこちらに背を向けて去っていくと、セインガルド兵がやってくる。
おそらくディムロスを回収しに来たのだろう。


「スタン殿、恐れ入りますが、ソーディアンのご返却を……」
「ああ、そうだっけ。…名残惜しいけど、いったんお別れだ。ディムロス。次に会う時はもっと強くなってるから、楽しみにしててくれよな。」
『我がお前を待つという保証はどこにもないぞ。少しでもましな人間を見つけたらすぐに乗り換えるつもりだ。』
「全く、少しは名残惜しそうにしろよ。……それじゃ!」
『……ああ。』

やはり会話は進んでいく。
ディムロスを兵に渡すと、兵は全員に一礼してから去って行った。
考えてみればここにいる四人の内、三人は客員剣士なのだから敬意を払われるのは当然か。



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