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「よっしゃ!発動した!」

「おお…すごい格好」


覚悟はしてたけど実際着ると色々気になる…。
小さくガッツポーズをキメる白金の傍ら、名前はスカートや胸元を気にしていた。



「うわぁっと!」


またもや容赦ないキメラアニマからの攻撃を飛躍して避けるが、その時名前の頭の中に一つの言葉が浮かぶ。



「す、すとろべるべる!」


尻尾についたリボンが光を放ち、やがてリース型の物体に形を形成していく。

すげー!!今の私すごく魔女っ子ヒロインだ…!!

それを手に取ると、不思議と使い方が分かった。
敵にストロベルベルを向けバリアを放ち攻撃を防ぐ。

私、初めての割に意外といけるかも。





「こら、そこの怪獣!よくもさっきは弄んでくれたわね!
御礼にたっぷり、ご奉仕するにゃん!」


当たり前のようにビシッとお決まりの台詞とポーズを決め、目の前の敵を見据えた。内心ドッキドキだ。

怒り狂ったキメラアニマは攻撃を繰り出すが、名前は華麗に避けている。



「やるじゃん、桃井名前」



荒削りだが、初戦闘とは思えないほどの身のこなしに白金は目を細めた。



「これで終わりよ!」



名前は不敵な笑みを浮べながらストロベルベルをブレスレットにタップする。
そしてストロベルベルを頭上に掲げ、敵に技を撃ち放った。




「リボーンストロベリーチェーック!」




キメラアニマは眩い光に包まれ、元のネズミに戻っていった。










「回収」


白金が側に控えてるR-2000に指示をだし、ネズミから分離した変な生き物を吸い込む。



「終わった…?」



今更ながらにどっと疲れが出てきて、その場に座り込んでしまう。


「おつかれさん、すげーよ大成功じゃん!」


最初は肩に手を置く程度だったが、よっぽど嬉しいのか、だんだんと背をバシバシと叩いている。



「──で、ちゃんと説明はしてくれるんですよね?」



内心は生白金かっこいいいいいと荒ぶっているが、私はポーカーフェイスを心掛けながら白金に尋ねる。
あくまで何も知らない体でいなくてはならないため、これからのボロを防ぐためにも早く諸々を説明して欲しい。切実に。

すると突然距離を詰めた白金は私の顎を掴み面倒くさそうに口を開いた。



「せかすな。お前は選ばれたんだ」

「……えっ」



…………これ、顎掴む必要ある???



突然の乙女ゲーム的展開に顔に熱が溜まってくるのを感じながら目を逸らすと、もう1人、長髪で正装のような格好をした男がこちらに向かって歩いてきていた。



「御心配なく。私達は怪しい者ではありません。事情はきちんと御説明させて頂きます。」



その男は名前の前にひざまずき、一礼した。



「初めまして。わたくし、赤坂圭一郎と申します。
稜、そういう態度は姫君に嫌われますよ。」

「は、はは…ひめぎみ…」



姫君とか本当に言っちゃうんだ…。
馴れない歯の浮くような台詞に若干引きつつも、愛想笑いで応える。耐えろ、自分。


「特別なレディをエスコート出来る事を、光栄に思います。」

赤坂は慣れた手つきで名前の手をとると、自らの唇によせた。



「はぁ…」



たしかに間違ってはいないだろうが、これはキザ通り越してイタイぞ……人間1人包み込めるくらいの大きな絆創膏が欲しいレベルだ。
キスされた手の甲を軽く擦りながら苦笑いを零す。


「…行くぞ」

「えっはい」


名前はどこか苦虫を噛み潰したような表情をした白金にグイッと強引に手を引かれ車に乗せられる。
イケメンじゃないと許されない所業だ。

そんな2人を赤坂はクスッと笑みを浮かべて見送ると、自らも車に乗り込むのだった。




(苦手なタイプ)

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