夢と京都と転校生
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「だからあのときだよ!!確かにいたはずなんだ…旧校舎には…僕の求めていた"妖怪(カレラ)"が!!
でも気が付いたら公園のベンチで寝てたんだ!!奴良くん!!見たよねー!!妖怪ー!?」
ビクビクしながら聞いた私に、清継は一気に捲し立てた。
『…あの時は不良がいたんだよ。私、カナちゃん庇って見てないけど、そうじゃなきゃこんな怪我しないと思うな』
私は静かに言いながら腕の傷を見せた。
手首から肘にかけて裂かれたような傷痕がある。
「!!みのりちゃん!!ごめんね…私なんかのために…」
その傷を見てカナちゃんは目に涙を貯めて私に抱き付いてきた。
『わっちょ、泣かないで!?別にこんなのへーK「えい」っっ!!!奴良くん!!』
焦りながら喋る私の腕の傷を掴んだリクオ。
…無駄に痛い。
「無理して意地張っちゃだめだよ!!」
『…でも奴良くんにとってカナちゃんは大切な人…一番無関係な私が怪我を負うのが一番いい選択だったんだよ…』
私は下を向きながら言った。
下を向いているからカナちゃんとリクオの表情はわからない。
…いい気味だって笑ってるかな。
それともそんなことないって悲しんでくれてるかな。
…後者だったらいいな。
「みのりちゃん…」
ボソリと聞こえた声には、悲しみが含まれていた気がした。
『…ぅえ?』
いつの間にか背中に回っていた腕。
リクオに抱き締められていた。
カナちゃんと清継くんは既に居なくなっていて、リクオと私だけだった。
『ちょ!?奴良くん!?』
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