口に苦く、心に甘美な(トゥイーク家)
2012/11/15 00:55



珈琲は最高の飲み物だ。

…特に、そう…我が息子のような人間には、ピッタリの…



「おと、お父さん」

哀願するような目で私を見る。
嗚呼、またなんだね?

「あ、あのね…」
「おいで、トゥイーク」

手招きすると、怖ず怖ずと私の膝に乗ってきた

「またからかわれたんだろう?」
「う、うん…」
「どんなことを言われた?」
「…」
「…言ってご覧」
「…あ、あのね…お父さん、ぼ、僕もう」
「我慢できない?よしよし、今用意してあげるからね」
「あ、いや、ちが」

分かっている
トゥイークはもう珈琲を飲みたくないと言いたいのだ

「お父さん、やだ、やだよ…」

かわいそうに
クラスの友達に毒されて…

「ほら、お飲み」
「んっ…」
「友達も阿呆らしいね。こんなに素敵な飲み物を理解しないなんて」
「ん、んむ、ぅ、とっとうさっ、、」

息子は拒み、拒まれた珈琲が口を伝い滴る

「ほら、もっとだ」
「あぅ、ぷはっ、は、あっ」

無理矢理飲まされ苦しむ息子の涙に、私はある種の快感を覚えてしまう

もっと見たいと、思ってしまう


…私はゲイか?
それともサディスト?


…いいや

私はただの珈琲愛好家

トゥイークの、普通の父親だ





珈琲が染みた服を着替えさせ、汚れた口元を拭いてやる
震える小さな身体が愛らしい。

「…トゥイーク」
「な、なぁにお父さん…」
「珈琲、嫌いかい?」

「……。ううん、す、好き…」
「…そうだよね。お前は私の息子なんだから」

ぎゅっと抱きしめると、トゥイークはやっと笑顔を見せた。

「…愛してるよ、トゥイーク」
「…うん、お父さん…」



…珈琲は最高の飲み物だ

苦しい現実を、すべて溶かして幸せだけを与えてくれる

息子のいじめも、中毒も、何もかも…


合法麻薬に身を任せ

息子と共に、堕ちていく






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