奥州に深々と雪が降り積もる頃、伊達輝宗はその手に小さな幼子を携えて伊達の門をくぐろうとしていた。門番は城の主の姿に一礼をすると幼子を見てそれはそれは不思議そうな顔をする。しかし流石に言葉には出さずそのまままた門番としての仕事をまっとうすべくピシッと前を向くのであった。輝宗は門番の様子を気にすることもなく幼子の紅葉のような小さな手を再度ぎゅっと握ると門をくぐった。輝宗もこの行動が大きな騒動となることは予測していただろう。だが、それが後の未来にまで続くとは考えていなかったに違いない。

戻る
- ナノ -