恋のはなし@ | ナノ










「好きな人が出来て、胸がドキドキするの。 恋って素敵よー」


幼い頃の静緒が「恋ってどんなの?」と質問すると母はそう答えた。


「きっとシズちゃんもその内解るわ。ちゃーんとお母さんに報告するのよ?」


うふふふ。ぴっと人差し指を立てて微笑む母。女性とはいくつになっても恋バナと言うものが好きなのかもしれない。今はまだ曖昧な表情で首を傾げているが生真面目な自分の娘はこう言っておけば律儀に逐一報告してくれるだろうと目論んで何時か来るだろうその時を思いほくそえむ。

母が何時もに増して笑顔なのが何故だか解らなくて首を傾げていると隣に座っていた幽がクイクイと静緒の服を引っ張ってきたのでそちらに顔を向ける。


「どうした?」
「僕、お姉ちゃん好き」


小さい子らしく無く普段はあまり表情を変える事の無い幽が珍しくもにこっと微笑んで、少し足りない身長を補う為に伸び上がると静緒の頬にちゅうっとキスをした。何時も超が付くほどおとなしい弟の積極的な行動に目を真ん丸にしていた静緒だったが同じようににこっと微笑むと幽の頬にもキスをし返した。


「ありがと、俺も幽が好きだよ」


静緒の言葉にこくんと頷く幽が可愛くてぎゅうっと抱き締めたくなったが制御出来ない自分の力を思い出して、恐ろしくなって戸惑った腕は幽の服を掴むに止まってしまう。
それに気付いたのか何なのか小さな手を一生懸命伸ばして変わりに抱き締めるとでも言う様に幽が静緒に抱き付いた。
そんな微笑ましい姉弟に何時の間に用意したのか母はカメラのシャッターを切り続けていた…










人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -