金糸雀 | ナノ








俺を買った男は酷く優しく俺の手を引く。
買われた…と言っても、俺は家族から厄介払いや金の為に売り飛ばされた訳じゃない。むしろ両親も弟も引き止めてくれた。
でも、家の為に俺は自らコイツのモノになる事を決めた。






酔狂な男だ。
下町の、平凡な商家の、特に学がある訳でも、別段美しい訳でも無い、少し髪がこの辺りでは珍しい金の色をしているだけの男である俺と引換に借金を肩代わりすると言うのだから。



「ほんとに、本当に、俺が、アンタのモノになれば親父達は…」
「“アンタ”じゃなくて俺の事は臨也って呼んでよシズちゃん。
俺は嘘吐きだけど、この事に関しては嘘じゃないよ。
ちゃんと借金は全額肩代わりしてあげるし、何ならこの先援助をしてあげてもいい」


狭い訳でもない馬車の中、寄り添う様に隣に座らせ、体温の低い手で俺の手に指を絡めながら別の手で俺の髪を梳く。
髪に頬に耳朶に触れる手付きは女に対するソレの様で居心地が悪い。
身じろぐと、頬に触れていた手がいきなり袂を割って侵入してきた。


「…っ、!?」
「俺の屋敷、下男の数はもう十分足りてるんだ。
“買われる”って事がこういう事かもしれないって事は…幾ら無知そうな君でも解ってたんじゃ無い?」
「…、でも、俺、男…」
「ふふ、陰間って居るだろう?
衆道趣味なんて上流階級の間じゃ珍しくも無いんだよ?…と言っても、俺も今迄手出したことは無かったんだけどね。
でも、シズちゃんは別。
シズちゃんを見たら1度ぐらいは良いかもと思えたんだ」
「…ぁっ…」
「良いよね、哀愁漂うって言うの?大っっ好きな家族と引き離されちゃって、淋しいよね?
でも大丈夫。俺が沢山可愛がってあげるから…ね?」
「ゃ…」


袷を開かれ、着物が抵抗無くするりと肩を滑り落ち俺の上半身は外気に曝される。
背に手を回され引き寄せられると赤い唇が俺の首筋に噛み付いた。
歯を立てられ、吸い付かれ、ヌルリと舌が這うのにビクリと体を震わせたら、臨也はクスクス笑いながら噛み付く場所を変え同じ様にする。


臨也の唇の触れた場所に紅い痕が残ってる。





嫌だ、





徐々に下へと下がっている臨也の頭を見下ろし、為す術も無く手首で止まっている袖をぎゅっと握る事でやり過ごして居ると、臨也が俺の胸の粒へ吸い付いた。


「…っ!?」
「あれぇ?初めてなのに感じるの??
使う事無いとは言え、随分綺麗な色だね、ココ。まるで桜の花弁みたいだ」
「や…だ、っ、ひぁっ!?」


立ち上がった其処を尖らせた舌で突付いて、舌全体でベロリと舐めて、周りの肉ごと吸い上げ時折前歯で甘噛みする。

一つ一つに反応して体が跳ねる。
引き剥がそうと臨也の頭に触れた手は、今じゃ逆に自分の胸に抱え込むみたいになっていた。





「あぁっ…っ…ぁ…」
「はは、初めてなのに乳首だけで感じちゃってる?
もしかしたらシズちゃんは男に抱かれる才能があるのかもねぇ」
「も…やめ…」
「んー、今シズちゃんのお部屋準備させてる最中なんだよね。
終わるまでの時間潰しに遠回りさせて帰ってるからさ、暇潰しに付き合いなよ。
流石に最後まではしないから」



さっきまで吸い付いてた、充血して赤くなった其処を臨也がぐっと指の腹で押し潰すと体の中心がこそばくなった。


「きれーな桜ん坊色だね。
どうせだからさ、こっちもしてあげないと可哀想だよね」
「そんなの、要らな…っ、あぁっ!?」



既に立ち上がってる方は少し強めに摘みあげられたり、押し潰されたり、もう片方の方は赤ん坊みたいに態と音を立てて吸い付かれた。


元々そういう事に興味が薄く知識としてはそれとなく知ってはいたけど一人で慰めたりする事だってしたこと無くて、なのに初めて会った、それも男に胸だけでも快感を得られる事を無理矢理教えられて其処を執拗に嬲られた俺は何時の間にか意識を飛ばしていた。












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