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寒くなりましたね…
( 2010/10/18 21:02
)

くしゃみが止まらないです…



またまた見切り発車なのですが、
臨也×妖狐静雄なんてネタが浮かんだので1話目に当たる話しを此処に投下しまーす…
精神的な余裕が出来たらちゃんと完結させるんだ…







**************************
金色の九尾の狐が住まうと言われている大山に人間の幼子の声が響く。
こそこそと人目を忍ぶ風な男達に抱かれた幼子。

足元を照らす灯りさえ最低限に落としながら、又、大山に住まうという九尾を警戒しているのか辺りをキョロキョロと見渡しながら山道を外れ山の奥へ奥へと進む。
暫く無茶苦茶に進んだ後内の一人が「此処で良いか…」と呟くと一団は立ち止まり腕に抱いていた幼子を降ろす。

尚もわぁわぁなき続ける幼子を取り囲んだ男達は皆スラリと腰に佩いた太刀を抜く。高く振り上げられた刀身に月光がキラキラと反射する中、また内の一人がボソリと呟いた。


「悪く思うなよ…
お前に恨みは無いが奥方様の命令なんだ…」


無垢な何も知らぬ幼子に刃を向ける罪悪感から皆コクリと喉を鳴らし心の中で詫びる言葉を呟きながら一斉に太刀を振り下ろそうとした。
複数の太刀が幼子の体を貫こうとしたその瞬間。


冬でも無いのに凍て付く様な冷気と只ならぬ気配を感じ、その手が止まり辺りを見回す。




ストン。




落ち葉の上に何かが軽く落ちるような音が聞こえ一斉に其処を見ると、其処にはまるで月光の化身の様な金色の美しい青年の姿。
その美しさに一瞬見惚れてしまうが、キラキラ輝く金糸の間から生えた狐の耳に背後に揺れる金色の九尾。
その姿に男達はブワリと冷や汗を流す。
人ならざる者の美しさ。


九尾の…狐


九尾はふわりふわりとまるで雲の上を歩くかの様にゆるりと近付くと、一番近くに居た男の首へ腕を伸ばす。
ニコリ。
紅色の唇で弧を描くその様は何処か妖艶で、感じた筈の恐怖も消えさり頬を染めながら見惚れていると



ゴキッ



「ひっ…」


九尾はまるで枯れ枝を手折るかのような容易さで、男の首を折った。
絶命し肉塊となったものは九尾が腕を放すとバタリと地に倒れ、苦悶の表情すら浮かべる暇も無かった死に顔はただ虚ろに仲間達を見上げた。
ゆらり、口元は妖艶に弧を描いたまま。けれども瞳は表情の無いままで残りの男達を見遣る九尾に誰かが引き攣った悲鳴を上げ、それを合図にする様に男達は仲間の亡骸と、連れてきた幼子をその場に残し一目散で山を下って行った。


九尾がそれを追いかけること無く暫く眺めていると、くぃっと着物を引かれたので見下ろしてみると遂先程迄泣きじゃくっていた幼子が涙を止め、きょとんとした顔で九尾の足にしがみ付きながら見上げていた。


「はは…うえ?」


幼子がそう呟き破顔したのに瞠目した九尾は何処か寂しそうに笑いながら幼子の脇の下に手を差し込み、優しく抱き上げ自分を見つめる大きな赤い瞳を真っ直ぐと覗き込んだ。




「俺に、“あの子”の…母親の面影を見たか…?」



ふにふにと柔らかな頬を指先で遊んでいると幼子はキャッキャッと嬉しそうに声を上げ柔らかな腕を首に回し抱き付く。
何度か額を肩口に擦り付けた後落ち着く角度を見付けたのか幼子はすぅすぅと寝息を立て九尾の腕の中で眠った。



「丑三つ時だから仕方ねぇとは言え…
妖の腕の中で眠るとか…流石“アイツ”の息子だな…
アイツとあの子の子供…イザヤ…」


初めて会った筈なのに幼子の名前を知っていた九尾はそう呟くと、何かに思いを馳せるように瞼を閉じた。再び目を開くと側にある木の木の葉を1枚千切り、何か呪いを唱えそれにふぅっと息を吹きかけると緑の葉っぱだったものがひらひらと空を舞う蝶へと姿を変えた。


「アイツに伝えてくれ。
イザヤは俺が預かって居ると…」


切なげに微笑んだ九尾の周りを了解と言うようにひらひらと飛んだ蝶は月の光りに照らされながら山の麓、街の中央部を挟んだ反対側に居を構える館の方へと飛んでいった。
暫くそれを眺めた九尾はイザヤの体を抱き直し穏やかな寝息を立てる背をぽんぽんと叩きながらその場を立ち去った。
















****



「シズちゃーん!!」
「わっ!?手前っ!台所に立ってる時は危ないから近寄るな
って言ってるだろっ!」


数年後、まだあまり言葉を発する事の無かったイザヤは幼いながらも確かに成長し元気に野山を走り回っていた。
ぱたぱた走り回り、山奥にひっそりと佇む庵に駆け込むと入り口に背を向けるようにして台所に立っている養い親の尻尾目掛けて抱き付いた。
驚いて振り返る金色の九尾。あの日イザヤを拾った九尾はイザヤの養い親として共に生活をしていた。
金色の九尾には静雄とちゃんとした名があるのだがイザヤは「シズちゃん」と勝手な渾名で呼ぶ。
最初はしっかり発音出来ない為「しず」と呼ぶのを放っていたが、しっかり口が回るようになってきてからは直そうと努力するものの頑として直そうとしないので良い加減静雄が折れて好きな様にさせている。

くすくす笑いながら静雄の尻尾にもふもふと顔を埋めたままのイザヤに溜息を吐くと、調理の手を止めイザヤの体をひょぃと摘み上げてから両手で抱える。あの夜よりも幾らか重くなった体に成長したな。とシミジミ思う。


「シズちゃんシズちゃん!
俺ね、向こうの山でアケビ見付けたー」


ごそごそと懐を探って取り出したのはイザヤの手の掌よりも大きな良く熟れたアケビ。「シズちゃんにあげる!」そう言って差し出されたそれに「ありがとう」と言うも、何処か怪我をしていないか心配になって抱いたイザヤをぐるりと見回す。


「でも、あの辺って高い木しかねぇだろ?何処か怪我して無いだろうな?」
「大丈夫だよ!正臣が抱っこして飛んでくれた」


野山を駆け回るような生活をしているのだから小さな掠り傷ぐらいはご愛嬌だが大きな怪我なんてしようものなら…そんな心配を他所にイザヤの口から出た名前、静雄の昔馴染みである天狗の正臣が手助けをしてくれたと知ってほっとする。


「じゃぁ、飯の後に一緒に食おうな。
…っと、その前に風呂か」
「シズちゃんも一緒ー!」
「はいはい」



風呂で体を清めた後、静雄の作った夕餉を食べイザヤが取ってきたアケビを一緒に食べる。
陽が完全に落ち、イザヤがうとうととし出した頃に寝床へ潜る。
此処でも一緒が良いとイザヤが言うので二人一緒に眠って居る。完全に眠ってしまう前に体いっぱいで静雄にしがみ付いてくる小さな背中をぽんぽんとあやす。
静雄の手を握ったり、胸元に擦り寄ったり、髪や耳、頬に触れたりしたイザヤは最後に頬と頬をぎゅっとくっ付け、「シズちゃん大好き」そう言って眠りに落ちた。



「お前達の息子だから…なのかな…それとも、イザヤだからなの…かな?



人の子を愛しいと思うだなんて…もう無いと思っていたのに…」


コツン。
額同士を合わせそっと呟くと何か夢を見ているのか口元をむにゅむにゅさせ静雄を呼び頬に触れるイザヤの手。それをそっと握り体が冷えてしまわないように布団をちゃんと着せると静雄はそっと体を起し縁側へと出る。

其処から見える月光に照らされる街並み。一番遠くにある館を微かに睨み呟く。




「未だか…
早く、早く迎えに来てやれ…」





その呟きは言霊となり蝶の形を取り街へと向かって行った…




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乱文ですまそ!!






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