雄英体育祭、最終種目。
1回戦
第1試合「緑谷vs心操」
第2試合「轟vs瀬呂」
第3試合「塩崎vs上鳴」
第4試合「飯田vs発目」
第5試合「芦戸vs青山」
第6試合「常闇vs八百万」
第7試合「鉄哲vs切島」
第8試合「麗日vs爆豪」
待ちに待った決勝トーナメント、1対1の個性を使用したガチンコバトル。記憶がないから棄権したいという申し出や、女子の謎なチアリーディングなど色々あったが観客たちの本命はここだろう。
ここまで盛り上がっていると私の個性じゃ対処しきれない。上がり続けるボルテージに吐き気と頭痛を催し所謂私は戦力外通告を受けてしまった。先生たちも、よく頑張ったと誉めてくれたからしばし休憩しながら見よう。飲み物を買いに経営科の所に行こうかな。
「いずと、洗脳の子の試合…」
先ほどいずに会いに行ったら尾白くんと作戦会議をしていた。呼び掛けに応えるとスイッチが入る初見殺しもいいところの強個性。
なのに、ヒーロー科の入試に落ちた。
開始早々相手の個性にハマってしまういずにもどかしくなる。優しいのはわかっていたけど、度が過ぎると身を滅ぼしてしまうってば。
洗脳され言われるがまま場外へと足を進め、こちらまで諦めムードになってしまう。私の分まで頑張るって言ったじゃない。根性見せなさいよ。
瞬間突如起こった爆発に個性を使うのを忘れてしまう。いずは何をしたの?素早く展開し状況を把握する。指が折れてる…洗脳下で感情は読めなかった、その状態を打破したのか。
[お前はいいよな!?]
[俺じゃダメだって言うのかッ?!]
聞こえてくるのは心操くんの悲痛な想い。私だって戦闘向きの個性じゃないからその分鍛えた。動き出せば、その想いはきっと報われる。
『緑谷くん!2回戦進出!!』
「お待たせしました。グレープフルーツジュースです!」
「あ、ありがとうございます」
ジュースを受け取り見張り台へ戻るために足を進める。戦力外通告を受けたが高みの見物くらいは許してほしい。
「心操くんだ」
「誰…ですか」
階段の踊り場で鉢合わせたのはいずに敗れて摩れていると思いきや、会場から認められ穏やかである。誰だと問われたが生徒用通路からコスチューム着た輩が出てきたら戸惑うのもわかる。
「ヒーロー科1ーAの環心。怪我とかで体育祭には出られないから特別任務してたの、だからこの格好よ」
「あっそ」
興味がないとそっぽを向かれてしまった。それにしても細い。私の頭上から声が聞こえるほどの身長なのに筋肉量は頼りない。個性で視てしまって申し訳ないがこれは鍛えないとね。
「私やイレイザー・ヘッドは戦闘向きの個性じゃない。だから他を鍛えた」
「何それ、ヒーロー科落ちた俺への当て付け?」
「違うよ。心操くんはヒーローになれるって話。来るんでしょ?ヒーロー科に。だから"心"があるもの同士仲良くしましょう」
君が望んで臨めば、道は開ける。相澤先生ってスパルタだけど案外優しい先生だから。
「"心がある"って能面で言われてもなぁ……」
*
第2試合「轟vs瀬呂」
先手をとった瀬呂だか轟の大氷壁で捕獲され行動不能に。イラついた轟の勝利。
第3試合「塩崎vs上鳴」
アホな上鳴は瞬殺され塩崎の勝利。
第4試合「飯田vs発目」
発目の口に乗せられた飯田は、散々商品アピールに利用される。利用するだけして自ら場外へ出たため飯田の勝利。
第5試合「芦戸vs青山」
青山が奇襲を仕掛けるが持ち前の運動神経と反射神経で軽やかに攻撃を繰り出し芦戸が勝利。
第6試合「常闇vs八百万」
八百万に部があると思われたこの試合も常闇の攻撃の早さに対応できず、常闇が勝利。
第7試合「鉄哲vs切島」
個性駄々かぶり対決は殴り合いの消耗戦。両者ダウンのドローで目が覚め次第、腕相撲で勝敗を決めることとなった。
第8試合「麗日vs爆豪」
「こっからが本番だぁ!麗日ぁあ!!」
勝ちたい気持ちはみんな一緒。麗日さんの作戦や勝利への執念は確かに強かった。
「キャパ、オーバー……」
麗日、行動不能。勝者、爆豪。
「(爆豪くんが珍しく楽しそうに誰かを認めた)」
麗日さんの名前を呼んだ時に視えたのは少しの苛つきと高揚感。最大威力を撃たせた…そこまで追い込んだ彼女は、できる奴だと認識されたみたいだ。
そんな彼女に少しだけ嫉妬した。
私だってあそこに立ててたら…
ifを憂いたってなにも変わらないのに。彼が私を『シオン』と名前を呼ぶのは、私を敵対視しているからだっていうのは知っている。対等な存在だと認められているのも知っているから……
彼の一番の好敵手は私でありたいとか。
*
*
ちなみに腕相撲対決は切島くんが勝利した。
素晴らしい脳筋具合で内心笑ってしまったのは内緒。
【着火】 火が着く、火を着けること。
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轟くん出待ちのところアニメ見たら矛盾いっぱいあるけど知らんがな。
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