22時56分。
部屋を出たのが22時過ぎたっだ。シオンをベッドの隅に追いやったのが確か22時半ぐらいだったはずだ。
「もう少しだけ」
「んッ、……ぁ、ふ」
「はぁ……やべ」
マジでヤバい。俺と壁に挟まれてキスをされているシオンは逃げられないと悟ったのか、俺の舌まで受け入れる。
柔らかい胸は手に吸い付いてきて、段々と汗ばんできた。触らせろとは言ったが思いの外良すぎて止めらんねェ。
唇に噛みつく度に息が乱れるのも、胸を触る度に身体が跳ねるのも、首に顔を埋める度に俺の肩を掴む手も…全てに興奮する。
今日はシない。慣らしてもないし、何よりシオンがそういう意味で俺を求めていないのが解ったから。
キスや胸を触ったりはなし崩しに許されているが、プラトニック気味な考えを持っているから…きっと最後まではできやしないだろ。
期待しといて玉砕するよりも今日は準備の日だと割りきっていた方がまだ我慢ができる。
キスをするまではそう思っていた。
瞳を覗き、涙を浮かばせているのを見ればもっと…と思うのが男の性だろ。ンでこんなに可愛いんだよクソがッ。
「ハっ……息、が」
「っふ………シオン、横になれ」
「ん」
壁に押し付けたままだった身体をベッドに寝かせ俺も隣に寝転ぶ。マウントポジションにつくよりはコイツも安心できるはずだ。
隣で寝ることは特別な事じゃなくなった。寝るときはこうして向かい合ったり足を絡めたりしている。
乱れた呼吸が少し整ったのを見計らって再び唇を合わせた。身体をくっつけて体温を分け合えば寒さも紛れるだろう。中途半端に脱がされた服から白い素肌…つーか胸が見える。
触ってる時も思ったが…案外デカい。視線を下にずらし見えるのは、重力に逆らうことなく流れてはいるが程よい弾力と柔らかさを持った胸。
普段晒されることのない肌は、露出しているところに比べてさらに白い。そして頂点にあるソレは…
「エロすぎ、だろ」
「ッ、ん……それ、ヤダ」
「声が嫌がってねぇぞ」
人工的な色ではないピンクを指先で撫でれば再び跳ねる身体。胸自体は揉めば揉むほど柔らかくなっているような気がするが、反比例するかのように乳首は硬くなっている。
控えめなソレは…控えめながらも触ってほしいと主張しているようだ。指で軽くつねれば面白いぐらいにシオンの声が漏れた。
「あっァ、ッぃ………勝くんのバカ、意地悪」
「……そうだな」
「あと少しが…ッなが、いわよ。も、触らせてあげないッから」
「そりゃ困るわ」
声が嫌がっていないのを良いことに触るのを止めない。シオンを抱き寄せて文字通り胸に顔を寄せれば少しだけ嫌がられたが、それ以上のことはしないとわかると段々と抵抗する力が抜けていき今は俺の髪で遊んでいる。
呼吸をする度に震える。何故震えているのかは解らない。緊張、興奮、安堵、歓喜、恋慕…どれも当てはまるだろうが一番は溢れて仕方がない愛が原因だろう。
まだ16年しか生きていないが、この感情を早く知れたことに感謝する。シオンのことが好きで、今この瞬間は他のことなどどうでもよくなる。
目の前の女だけを愛せる幸せ。
慈愛と正義を併せ持つシオンに敬意を表すキスを胸に送った。周囲への気遣いはコイツなりの愛でありヒーローとしての姿。
それとは別の俺だけに向けられる愛念。
「シオン…シオン、ッはぁ……」
「〜ッ、も、意味っ…わかんない」
胸や薄い腹を滑らせてたどり着いたのは、おおよそ人間の急所を守っているとは思えない、頼りのない下着。
パンツの中に手を差し込もうとするがそれは、理性を振り絞りケツを掴むだけに留まる。挿れてしまいたい。犯して鳴かしてしまいたい。
でも嫌われたくない。
パンツの縁から人差し指だけを滑り込ませて素肌を感じる。胸とは違った弾力は脂肪というよりは筋肉の弾力だ。スキニーパンツを履けば形の良いそれが見られるのだが……そうだな、今度外に連れ出せることがあれば着させよう。
俺の下着の下ではちんこが痛いくらいに押し上げている。恐らくシオンにも当たっているから俺の興奮具合も伝わっているだろう。
キスに夢中だったシオンを落ち着かせて目を合わせれば、呼吸は荒く肩が小刻みに震えていた。
「イヤ、だ…ヤダ……ッグス、」
「…わり」
声色がさっきとは変わって本気で嫌がっている。高揚によって流れていた涙は単純に拒絶によって流れ始めてしまった。そんな顔は見たくなかったのに…と猛省してシオンを包み込み頭をゆっくりと撫でる。
決して今日じゃないと我慢ならないと訳ではなかったんだ。ただ、少しの褒美として触れたかった。好きな気持ちが抑えられなくて温もりを感じたかった。そしたら案外反応がよかったから…やり過ぎた。
心の繋がりを信じているから身体の繋がりはまだなくて良い……まだ。
「……次は、シていいか?」
「………」
「…、わかった。無理強いはもうしねェよ」
「ん……ごめん」
「謝んな」
撫でていたら胸元の服を掴んできたシオンは眉間にシワを寄せていた。俺が傷ついていると思っているらしいがそんなヤワじゃねぇし、触れただけで幸福感が増しとるわ。
そんな顔で俺を見ンじゃねぇ。こちとらちんこはまだ硬度を持っているし、胸を…捲れた服から出たままの胸を俺に押し付けられるとまた触りたくなる。
変なところで大胆な行動をするシオンだから俺のペースだったのに、あっという間にハンドルを握られる。
そんで…俺の胸に顔を埋めたままゆっくりと呼吸をしはじめた。待てよ、それはお前が寝るときの体勢だろ…まさかこの状態で寝ようってのか?
餓えた男は常人ならざる精神力を持っていなければコレが収まることはないンだぞ。
……ダメだ、聞こえちゃいない。
*
結局、情けなくも部屋に戻ってから2回抜いた。
ついでに朝勃ちしてた。
【恋慕】特定の誰かを恋い慕うこと。
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