拙劣というもの

総合体育センター、仮免講習。

間瀬垣小学校の問題児たちのと心を通わせる。

ヒーローとは一変して今回は保育士擬きになれと…私は良いけど、果たしてこの4人は大丈夫かなぁ。

ギャングオルカから改めて”4人協力して、このクラスの心を掌握しろ”と課題が言い渡される。

何をもって心を掌握というのだろうか。


「うまく転がらねぇー!!ギャハハハハ」

「返せー!!ガキのオモチャじゃねェんだよ!」

「ゴチンコだ!!」

「ゴチンコじゃなくてショートだ。これは応急処置のアイテムで…」

「つまんねー!!おい!でっかいゴリラぁ!!」

「俺はレップウっす!!俺と仲良くなろう!!」

「この女は敵よ!!!!」

「マジ最近の子ども目敏耳年増〜」


………………目にも当てられない。

元々協調性に欠けていて、だからこそこの課題なんだろうけど。少し離れたところで彼らを観察する。公安局の目良さんの隣だ。


「目良さん…真面目な話、私が今回呼ばれたのってケミィ先輩のことですよね」

「相変わらず察してくださって助かります。先日の八斎會の事件で雄英生の証言もありましたが、」

「今の彼女と、試験の時の彼女間違いなく別人ですね。ちょっと彼女を視てみたんですけど、Mr.コンプレスに捕まり薬で眠らされ5日ほど成り代わっていたみたいです」


先ほど、アヘッドモードになり必要な情報だけ視た。敵連合が関連しているけど、ほとんどトガヒミコの単独犯のような形だ。

薬は私も使われたことがある筋弛緩作用、それに抗うつ剤を併せた睡眠薬。そのせいで意識の混濁があったみたいだが、今は彼女の性格も合間って副作用などは見受けられない。


「……といった感じです」

「つくづく学生の貴女が優秀すぎて困ります。プロのメンツ丸潰れですよ。そうですか、動きが活発化していますね…色々と」

「……そのためにも彼らに仮免取って欲しいんですけどねぇ、」


自分で言っておきながら何目線だ?と思ってしまう。だって今の彼らの有り様と言ったら。


「一番強ェ奴出てこいや。俺と戦え!」

『駄目そうだ!!』

「そういう前時代的暴力的発…お里が知れますよね」

『お里を知られたァ!!』


ん〜…光己さんの教育、うん、確かにちょっと過激。個性を使ってどちらが上かを知らしめたいみたいだけど、目があったら即決闘みたいなヤンキースタイル止めなよ。


「ヤンキーは流行ってないよ」

「流行れや!!」

「ヤンキーはないわァ……」

「んだとクソスクエア!!聞こえてんだよ!!」


おっと地獄耳。

その後も夜嵐くん、轟くんとチャレンジするけど子どもたちは揚げ足をとったり、話を聞かなかったり。担任の若い先生も彼らで大丈夫なのかと不安に思い始めている。


「ヒーローハーツ。貴女は精神保健福祉士の資格持っているでしょう?」

「そっちじゃなくて臨床心理士なら」

「このままでは一向に進まないと思われますので助力していただければと思います」

「SSW(スクールソーシャルワーカー)じゃないんですけど…」

『ヒーローハーツ!いざ出陣!糞掃除の時間だァ!』


プレゼント・マイクによって、私の行動が逐一実況されるけどうるさくて敵わないなぁ。


「また来た!今度は姉ちゃんだ!どうせアイツ等と同じでポンコツだぜ!」

「目隠ししてる!目も合わせられないコミュ症だなんじゃねぇの!?」

「違うわよ!ブスなのよ、きっと」


小学校低学年でこれかぁ。ちょーっとお口が悪ぅございますね。でもそれは、彼らに共感し、自己肯定が強すぎなのを指摘してあげればいいだけ。

まずは同じ目線で目を合わせて話すことが大事なんだ。


「あ、座った」

「あ、目隠しとった…めちゃキレーじゃん」

「あ、隣ポンポンしてる………俺座る!」

「あー!私もー!」


座って身長差を感じにくくしてあげる。そうするだけでこの年頃の子は警戒心を緩める。

マセガキめ。そんなに若いねェちゃんが好きなのかよ。そしてそれに釣られてくる女の子達も…集団心理だなぁ。


「ねぇ、姉ちゃんって神野の人?」

「うん、あそこにいたよ」

「ん〜むっちゃバク転してた!?すげぇ!」


こういうときに、メディアの影響力を感じる。子どもには刺激の強すぎる事件であったが…彼らはそれを踏み台にしてこの有り様みたい。


「皆に問題です。"強い"って何だ?」

「1番の人!!トップヒーロー!!」

「個性が強いのも!敵を倒すんだよ!」

「精神力!パワー!」

「負けないこと!自分にも!」

「優しさだよ!オールマイトみたいな!」


これからのヒーロー社会に疑問を呈する人は少なくない。あそこにいるエンデヴァーで大丈夫なのか?平和の象徴と言い難い。そんな声が上がっている。

でも……親バカ脳筋ヒーローも凄いんだから。


「皆賢いね〜私にも思い付かない強いがいっぱいあったよ。今皆が言ったことぜーんぶ正解!凄いねぇ…私は皆には笑顔にする個性があるの知ってるからそれが見たいな。先生の涙は正解だった?」


押し黙る辺りその行為が不正解であることは理解しているようだ。夜嵐くんのは惜しかった。彼に足りないのは…、頭脳…………かなぁ?ローゼンタール効果を頭の隅に入れとくだけで違いが出るとは思うんだよなぁ。


次回!

問題児四天王!遂に動く!!

私のターン!!ターンエンド!!




【拙劣】技術などが劣っていること。下手なこと。

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公開してると思ったらしてませんでしたね。遅れました。講習編はあと2話くらいで終わります。
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