「そういえば今週イヴだよな!どうしよう!」
「勿論彼女との約束は済ませたんだ!」
「いいなお前!」
部活前の男子更衣室ではざわざわと盛り上がっていた。
その会話に男たちの視線がもうユニフォームに着替えていた
太一に目を向けた。
「太一!お前イヴはどうなってるんだ?」











八神 太一
12月22日午後3時 学校













ターゲットにされた八神太一は「はぁ?」っとあきれた声で聞き返してしまった。
太一に声を掛けた人物はもうにたっと顔がゆるみっぱなしであるからして
太一には「彼女はいない」という事は断定していると思った・・・いや
思っていたのだった。
「一応、まだないけどさ。」
「あの人は?えっと・・・・赤坂さん!」
その単語を聞いて太一がびっくりしたのか肩が少し上がった気がした。
男子から赤坂という単語を聞くとどうしても・・・

「あぁ!あの転校生ちゃんだろ?みつきちゃん・・・だっけ?」
と男子が女子の名前記録を検索するが如く頭をフル回転し名前が一致した。

「夏休みが終わって石田とも仲良かったし、それとみつきちゃんとかと結構
武之内と話し掛けるし・・・」
「きっ、気のせいだろ?」
とみつきの話題を消そうとした太一。
太一とみつきはお隣同士であり時々母が夕飯時にみつきを呼んだりする事も度々あった。
時々みつきとはどんな関係だという時には「タダのお隣さん。」といっていたのだった。


「みつきちゃんはクリスマス空いてるのかね?」
「俺予約しちゃおっかなー。」
その冗談交じりな会話でも太一は成長したとしてもやっぱりムカっと
するわけだが、このままだとやばいな・・・と思って太一は一旦「便所いってくるわ。」
と言って更衣室から出て行った。














「え?クリスマスは太一と?」
みつきは学校の下校中の廊下を歩いていると赤いユニフォームに
身を包んでいた太一とばったりと再会していた。
男子トイレから出てきた太一もさっき男子との会話でみつきの話題だったから
ちょっと驚いていた。

「あぁ、母さんがクリスマス一緒にどうかってさ。」
「太一ママからのお呼ばれかー。」
「まぁ暇だったらでいいんだよ。お前も空とかとパーティーするんだろ?」
「空とかとは別に・・・」

だったら、と言おうとした瞬間太一がじゃあさ!とみつきに近づいた。
「俺と一緒にさ、パーティーでもするか。」
「・・・は?」


もっと可愛い言葉が出てこないのだろうか、と密かに太一は
思ってはいたが・・・自分が言った言葉を今思ってみると明らかな事を言っているのに
気が付くのに時間はかからなかった。

でも、みつきの顔が真っ赤になったと思ったら「OK!」って、
俺も恥ずかしくなったけどあいつのそんな顔をみれたことに
俺は密かにガッツポーズをしていた。








「はぁ?結局みんなでパーティーになったぁ!?」
「そっそうなんだよね。あ・・・あはは。」
ベランダで話をするみつきと太一。今日は12月23日の午後11時。
さっきミミからの電話でしょうがないから太一に相談を持ちかけていた。
もちろんそんな事をしらない太一としては驚きな所であったのだった。

「マジか?」
「・・・ごっごめん。」

太一からの誘いを断りたくもなかったみつきであるが何かと友達に弱い所は
あるのだって太一は知っていた。
だてに一緒に旅をしていたわけじゃないから・・。
「・・・わーったよ。ただし俺も参加させて貰うからなみつき」
「そりゃもう!当たり前だよ!」
ぱちぱちっとみつきは太一の機嫌を損なわないようにするのは太一でもわかっていた。
でも、ちょっとばかし思ってしまったのだ。










この時くらい邪魔するんじゃねーよ、って。
そして、そう思う自分はまだまだ子供なんだって・・・思ってしまうのであった。
「それじゃ、25日ちゃんと空けとけよな。」
「・・・は?」



お前はやっぱり面白くて、好きだ。








Suzuno Asaka
Dream Novel 2006,1218



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