「じゃぁ分かれて探しましょう。
そのほうがいいと思います。」
よいしょっと、光子郎は懐かしいノートPCをリュックにしょって
皆を見た。
みつきの家から出て深夜に光っていたパレットタウンへと歩いていった。
子供に戻ってしまった太一たちは小学生の視点を珍しいように、
時に懐かしいように味わっていた。
中学生と小学生ってこんなにも違かったのか、と改めて思う。


8/1の今日はとても青空でしかも夏休みだ。
夏休みだとお台場は一番込み時期。
大人数で一緒にいても夜までにデジモンを見つけるのは
ちょっと難しいだろう。
すると大輔が声をあげた。


「じゃぁ分かれる場所をクジで決めましょうよ!」
もう用意万全!な大輔の言葉に先輩(だけど小さくなってしまった旧
選ばれし子供達)達に目を向けていた。
「あんた、用意いいわねー。」
大輔の用意さに京が疑念な思いが駆け巡るが誰もあまり反対しなく
さっと引いていく。
ちなみにクジはゲンナイにいわれてこっそりと作っていたのだった
(様は大輔はお手伝い。)

クジを最初にひいてみつきの目に映ったのは場所の名前だった。
「東京・・・ビックサイト・・・・方面?」
「みつき先輩はビックサイトっすね、太一さんは?」
大輔が笑ってそう答えると太一もそのクジを引いてぁ、と太一も
声があがった。
「俺も。東京ビックサイト。」
妙に大輔が仕組んだ気もするがちゃっかりと皆引いてしまったため何も
いえなかった。
しかもみつきが一番最初に引いて太一が一番最後にひいたのだ。
これもこれ。というのが一番考えやすい。



「あ、あたしジョイポリス方面!」
「あ、あたしもよ。」
嬉しそうな声をあげたのはミミで、ミミの声を聞いた空も
その場所に反応した。
空もミミと同じお台場臨海公園駅からちょっと歩く場所
若者向けのアトラクション満載の場所:ジョイポリスだ。


「俺達はテニスの森方面か・・・太一たちと国際展示場駅まで一緒だな。」
「ボクもだ、そっちにホントにデジモンがいるのかな。」
ヤマトの声に丈も言葉に反応した。
テニスの森、なんでそこに入れたのか不明だが対して反論はない。
お台場のどこか、というのだけでも広いのだから
そのデジモンが逃げない為にも1組でもお台場からちょっと
離れた場所のほうがいいのかもしれない、丈もその考えが浮かんだ。

「丈もそう考えたか?」
「うーん、その方が考えやすいかな・・・って思ってね。」
大輔君だし、と付け加える前にあ!と声があがった。

「あたし達は青海南ふ頭公園かー、」
「僕もです。京さんといっしょですね。」
賢とじゃなくてちょっとショックな声を上げたのは京だった。
伊織は京とはよく居るからか京と一緒でほっと、はしている。
その賢はというと・・・

「俺達は潮風公園かー、な、賢!」
「あぁ、そうだな。」
大輔とだ。賢と大輔というダッグが妙に運が強いと感じる京である(笑)
そしてヒカリとタケルは互いにりんかい線を往復するということになった。
りんかい線は国際展示場から東京テレポートまで。
と限定してつけてきた。

その限定条件を出したのは光子郎だ。
その光子郎はというと光子郎はパレットタウンの大観覧車前で待機。
という形になった。
大輔としては賢とじゃなくて自分の好きなヒカリとなりたかったのだが
なぜか、タケルとなってちょっぴりショックだったのは皆様の想像通りで
ございます。





「デジヴァイスが反応したらこのケータイに電話を下さい。
なるべくまめにとってくださいね。」
光子郎の言葉にいち早く声を上げたのは大輔で
太一も、ヤマトも、みつきも、みんな数年前の子供の姿に
戻ったからか声が妙にあがった。
「おう!よし!ヤマト!丈!みつきも行くぞ!」
「あぁ、行こう。」
「みつきクンも!」
「あっうん!」
4人は先に行くと次々とじぶん達が与えられた場所へと進んだ。








思い出す物語







「だぁぁ!なんで太一さんとみつきさんのは一緒で俺はヒカリちゃんと
一緒じゃないんだよー!」
大声が聞こえたかと思ったらその声は大輔の声で大輔は
歩きながらも愛しのヒカリと共じゃないのがちょっと不服だったらしい。
プラス、夏風が妙にべたつく感じに大輔のイラつきがさらに増す。

そんな大輔の隣にいる賢は「まあまあ、」と宥めていた。
暑さに耐えかねたのか大輔の足がストップしてしまった。
目の前にある信号機の青が点滅していてもうすぐ赤になる。
・・・・赤になってしまった瞬間車がスピードよく通り過ぎていく・・・。
賢も止まって早く青にならないのか、と信号機から目を離さないでいると
ぽつり、と大輔が口を開いていた。
「・・・そういえば、さ。」
「・・・ん?」
「・・・なんでもねぇ!さっ、行こうぜ!」
「ちょっ・・・・大輔!」
気付けば青信号に変わっていた。
・・・大輔の足元を見ていると白線部分しか歩いていなかった。
聞いた事がある、白い所だけ踏んで向こう側にたどり着ければ
イイ事がきっとあると・・・。

そんな事を誰に聞いたのだろう・・・、賢のしる限りじゃ記憶を辿って見ると
京か自分の母のどっちかだろう。
不思議だ、何で知っているのだろう。

「早くこいよ!賢!」
「あっ、あぁ。」
ふと目の前を見てみるともう大輔は向こう側にいて
大声で自分の名前を呼んでいた。
足を踏み出して、今日は白線だけを踏んで向こう側へと渡った・・・・。











「え、定期じゃだめなんですか?」
一方のみつき・太一・ヤマト・丈の4人は東京ビックサイト方面へと
行く為にゆりかもめ青海駅から乗ろうとするところまではうまくいった。
しかし、駅員にみつきの足を止められてしまったのだ。
みつきの瞳に不安の色が隠せない。
「なにがダメなんだ?」
「定期期限きれてねぇよな?」
「これで大丈夫だと思うんですけど・・・」
ヤマトがちょっとすねくれた声をあげ、太一は自分達が
いつも使っている定期の期限が過ぎていないか、と確認するが
まだあと期限が20日以上も後だ。
丈もその駅員がなぜ止めたのか、よくわからなかった。
そんなみつきたちに駅員が手を出した、

「わっ!」
みつきが驚いた声があがった・・・駅員がみつきが持っていた
定期を4人に見えるように駅員が見せた。
「あのね・・・これは大人用の定期なの。
お兄さんやお姉さんの定期を使っちゃいけないんだよ。わかるかい?」
ほら、ここに大人とかいてあるのだろう?と小さく定期には『大人』という
文字をみつき達にみせた。

「あの、僕達はおと」
「あぁ!すいません。」
「俺達兄貴達のと間違えちゃったみたいです。」
「ちゃんとキップで払います!」

丈の言葉を遮るように太一・ヤマト・みつきが急いで遮断をすると
駅員がほっとした顔で4人を見た。
「だったら一日乗車券にするといい。」
こそっ、という駅員にみつきたちに笑顔が零れる。
駅員の好意により、みつき達は一日パスをゲットしたのでありました。




「丈、わかったろ?」
「うん、ありがとう3人とも。」
「いんや。ってか得した気分だよな。」

にしし、と太一が笑ってみつきたちをみた。
そう、自分達は今は小学生の姿に戻っているのだ。
定期には年が記入してある為、そりゃ兄弟の定期と
間違えている・・・といわれるのは言われてみればそうだ。
丈は自分達が小学生の姿に戻った事を少しわすれていたようである。
「なんか全部が大きく見えるね。」
みつきの言葉にふと3人の心にはいっていくようだった。


『電車がまいります。・・・電車がまいります。』








*


「うわー!すっごーい!」
ミミの興奮している声が空の耳に届いた。
空はミミを見てみると既にジョイポリスの前まできていていた。
中に入ると人で賑わっていて2人はぐれないのが不思議なくらいだ。
「ミミちゃん、」
「ねぇ!空さん!あの3Dアクションとか面白そうじゃない!?」
あ、こっちも!
さっきまで3Dアクションの所にいたが次はまた違う場所へ。
空は小さな溜息を零れそうになったがなんだか懐かしい感じがした。
昔も・・・現実世界へとミミと一緒に東京タワーに行った記憶が思い出す。
ふと現実に戻った瞬間頭に何かが乗っかっている感じが空に感じた。
何かの、被り物?

「!」
「空さん?疲れちゃった?・・・これ。」
ミミが心配そうな声をあげていた。
目の前にはさっきまで何も被っていなかった彼女に、あの昔使っていた
テンガロンハットの帽子が被らされていた。
しかも、空の被っているのもミミと同じテンガロンハット。
「ミミちゃん、それ・・・どうしたの?」
「え?・・・さっき売ってたから。日焼けと熱中症防止ってことで♪」

彼女の無邪気さはあたしを癒してくれた。
でも、貴女はやっぱり変わったね。


「ありがとう、ミミちゃん。」
「どういたしまして!・・・!?」
互いに笑いあっているそのとき、ピピピピピ・・・デジヴァイスが
反応していた。
ミミも空も自分達がもっているデジヴァイスに目を向け
あたり一面をみた。
するとさっきミミから貰ったテンガロンハットが強い風に吹かれたのか
空の頭から離れる。
「うわっ!」
強い風が吹いたかと思い空は天井を見上げた瞬間赤いモノが通り過ぎるのを見た・・・。
いた!、あれが出てきてしまったデジモン。
みつきの家の窓から見た・・・デジモンだった。
ミミ・空はそのデジモンを追いかけようと動かした。
人込みの中を走って走って、ミミがそのデジモンの目の前に来た瞬間
赤いボールのようなデジモンを見た。
ミミはにこっと笑ってデジモンの近くへと寄った。
警戒しているのかデジモンはミミが一歩進むたびにタジログ。

「・・・帰ろうよ・・・ね?」
「・・・イヤダ・・・。」
デジモンの返答が返って来た瞬間そのデジモンはミミたちが走ってきた方向へと逃げていってしまった。
人込みが多いこの中をもう走る気力さえも少ししか残っていない。


「!ちょっと!待ちなさいよ!」
「ミミちゃん!!」
空が来た瞬間どんっとミミの下から何かが当たった音がした。
ミミは「何よ!」と怒りをぶつけようとして下を見た瞬間、そんな言葉が
心の中から消えていたのがわかった。

「「・・・なんで?」」

空も足をとんとんっ、と誰かに叩かれた。
空もミミがそのデジモンと接触したのは見えたのだがデジモンが
消えてしまった・・・そのデジモンがなぜ来てしまったのか、聞きたかったのに・・・。
そんな事を考えていたからかその足元にいるモノさえも
考えられなかった・・・が。
「ソーラ?」
その声が懐かしさを呼び寄せた。




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