2003/08/01
AM:01:08深夜のヒカリ(選ばれし子供達)










誰もいないリビングにゆっくりとみつきは電気をつけ
ポットの目の前にきて引き出しに入っていたココアの袋に手をかけた。
時間帯が時間帯なだけにとてもじゃないが空は真っ暗でみつきはそれをみると
妙な気持ちになっていた。
もう深夜の1時5分でいままで
みつきは昼間にやれなかった塾の課題をこなしていた。
深夜まで何かをやるというのは苦ではないが妙に欠伸だけが止められなかった。
だから甘いものをとって欠伸を少しでも和らげようとしていた。
「・・・ぁ、やだ。」
みつきはマグカップをもちその中にはココアが入っていたが
ふとリビングにあるソファーに目をやると昔自分が冒険した時に使っていた
デジヴァイスがコロンと落ちていた。
ちゃんといつもは机に置いてあったのに、とマグカップをテーブルに置いて
ソファーまで歩いて行くと電子音が鳴り響いた。
「・・・ぇ。」


それは、目の前で鳴り響いていた。
・・・デジヴァイスが、何かを呼んでいた。

「(なんで!?なんで鳴るの!?)」
頭の中が一瞬パニックに陥った次の瞬間ガタンッ!と大きな音がした瞬間
部屋全体が真っ暗になり何も見えなくなっていた・・・・。
驚きすぎて立ってみつきは今も電子音が鳴り響いているデジヴァイスを
右手で握って見入った。
「・・・何が・・・・」
ふと太一にその異常事態を知ってもらおうとみつきはベランダに出て
太一と声を出して呼んでみると意外にも太一はベランダに出ていた。
太一の手にも、光り輝いて音を鳴らすデジヴァイスが握られていて
太一も唖然とした顔をしていた。
「たっ・・・」
みつきが話かけようとしたとき、カッと目の前が一瞬だが明るくなって
また暗闇が襲った。
お台場に、何かが落ちた。
それだけが頭に入ってきてみつきと太一は一度互いを見て頷くと
ベランダを閉じて玄関で落ち合った。
夜中だというのにガタンッと急かした音が妙に響いたのも
関らずに2人はすぐに階段を降りて走りながらも会話を繰り出した。


「太一、あれ・・・なんだろう。」
「わからない。・・・まだ・・・」
デジヴァイスが何かを呼んでる・・・
ピピピピピ、と端末が何かを呼ぶ音派いまだに消えずに
自分達を本当に呼んでいるようだった、なにか、まだ分らずに・・・。






「太一!みつき!」
何かが落ちたと思った場所がお台場の大観覧車が見える方面、
パレットタウン方面だ。
その方面まで走っていると一番最初に会えたのがヤマトであり
その後に、というように一緒に冒険した旧選ばれし子供達が集っていた。
太一・みつき・ヤマト・空・光子郎・ミミ・丈。
ミミは定期的に日本に帰ってきていたため、たまたま今日は日本にいたらしい。
あまり合わなかったみつきに抱きついてきたのは言うまでもない(笑)

集まった太一達は大観覧車を前に皆が持っているデジヴァイスを見せる。
太一が先に話を切り出した。
「何かが、俺達を呼んでる。」
「一体、何が俺達を呼んでいるんだ・・・」
自分達はもう選ばれし子供じゃない・・・もう終わったはずなのに。
ヤマトもそう呟いた瞬間一層デジヴァイスの反応が強くなっていった。
壊れるような電子音に一瞬耳に強く呼ばせているようで
デジヴァイスが一層鳴り響いた瞬間また強いヒカリが大観覧車から光りだした。
いや、大観覧車が光っているわけではなかった、その大観覧車の一番真上に
人じゃないものが警戒をしている、光だった。
「なに?あれ。」
空が不思議そうに言うとまたその大観覧車からヒカリ輝く。
しかし、さっきとは違い光は全てを覆い尽くすような光で
7人を光の中に飲み込まれてしまった。



「太一!」
みつきの声が光に飲み込まれた仲間を呼んだ。
「ヤマト!」
幼馴染をよんでも声が返ってこない。
「空!」
初めての友達になってくれた空も。
「光子郎くん!」
色々と教えてくれる後輩の光子郎も。
「ミミちゃん!」
騒ぐのがダイスキなムードメーカーなミミも。
「丈さん!」
何事もいつも自分達を護ろうと考えてくれた丈も。



誰一人として声が返ってこない。
みつきもその光の中にいて白い世界を見ようとせずに
瞳を閉じた。







何分くらい瞳を閉じていたのだろう。
みつきは何も考えたくない思いが強かったのか瞳を閉じた後
深い眠りに落ちてしまった。
でもそんなに時間は経っていないのだろう、がまだ瞳を
あけるのに躊躇していた。
怖い、みんなの声が返ってこないのが。


「おい!大丈夫かよ!・・・・・おい!」
誰か、呼ぶ声が・・・聞こえた。


みつきは瞳を開くと目の前にいる男の子に目をぱちくりさせた。
目の前にいるのが深夜だというのにも関らず心配しているような顔をしている
大輔で他にも伊織や京までも自分を見ている感じだった。
「大丈夫、ありがとう。」
「ケガがなければなによりですが・・・」
「そうよそうよ!そういえば、貴女さっきの光の原因に巻き込まれたのよね!?」
ずんずんっと京の顔が寄ってきてみつきを追い詰める。
みつきは立って見るが妙に変な感じがした。
そう、自分が小さくなっている気がしたのだ。
そのとき、みつきはくるりと後ろを見るとそこには
コンクリートの上で気絶をしている少年達もいた。
そこにはヒカリとタケルがいてみつきは大輔・伊織・京を無視して
身体のだるさに勝ちながらもゆっくりと歩いていく。


「!みつき・・・ちゃん。」
「・・・みつきさん。」
2人は驚いた様子を見せながらも自分を知っている口ぶりで
正直ほっとしていた。
さっきの大輔やらの会話からして自分を知らないような会話に
少し戸惑いを隠せずにいたのだ。
2人の近くに行くとむくりと起き上がった少年に目をやった。
その少年は太一・・・だが、
「・・・!太一・・・」
「みつき・・・なのか?」
不思議がるような会話が当たり一面を飲み込んだ。
目の前にいるのは、確かにさっきまで話していた太一・・・だが
姿が小学生、つまり小学5年生だった・・・あの姿なのだ。
みつきの方も太一の瞳からはみつきは中学生の姿ではなく
初めてデジタルワールドで
であったようなボーイッシュな感じの少女だった。
不思議な感覚が混ざり合う中他の仲間達もむくりと置き出してきてきたようだ。
そう、今の・・・姿ではなく・・・小学生だった自分達の姿でーーーーーーーー。







今年の夏、8月1日。
一つの真夜中に光りによってまた何かが走り出した。
そう、たった一日の、特別な日に。





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