目がさめたら、わけのわからない場所に飛ばされるなんて
御伽話が実現する時しかないと思っていた。
母親がいつも聞かせてくれていた、話みたいに・・・



かさ・・・
みつきは手で触ったモノが草だと知った。
しかもここの空気はさっきよりも暖かい感じがするのは
みつきは自分の気のせいかとおもっていた。
しかし、みつきの夢をもっと不可思議にしたのは赤いクワガタムシの
形をした巨大なムシがみつきの目の前に降り立ったという事だった。
羽音が自分を威嚇しているのは、みつきの頭でも分った―――――。





Story Without Title
ファイル島での出来事・・・1




「ちょっ・・・・あれなんなのよ。」
みつきは息を切らしながらも走りつづけやっとあの訳のわからないモノから
振り切っていった。羽音が遠ざかっていく―――やっと安心・・・そう思っていたが
あのようなわけの分らない(しかもかなりでかい)
ムシみたいなのに襲われると思うとみつきは寒気がした。


ここはどこなのだろう・・・第一にそう思った事が頭をよぎった時だった。
草むらに隠れていたみつきは体育座りをして前をかかんだ瞬間、
ぱさりっと何かが落ちる音がした。
目の前に落ちてきたのは誰かの髪の毛・・・まさか。

「じっ地毛?」
のばしたのに!みつきはポニーテール結びだった髪の毛が
さっきの赤いクワガタムシに後ろからの攻撃できられた事を推定した。
結構ポニーテールに丁度いい長さだったみつきの髪の毛はばっさりときられたお陰で
ヘアゴムの使い道がなくなってしまった。
「・・・うっそでしょ。」
みつきはショックを隠せないでいるとき、誰かの声が聞こえた。
男の子・・・2人くらいだろうか・・・みつきは起き上がり
その声がする方面へと足を運んだ。
キャップ帽を深く被りながら―――――――。






みつきが歩いていくうちにその声がだんだんと聞こえるようになってきた。
そしてやっとその声の元へとたどりついた・・・そこには祠で簡単に会話を交わした
オレンジ色の服を着ている少年とゴーグルを頭にかけていて青い服を着た少年と
目が合った。
「あ!貴女は・・・」
「なんだお前。」
オレンジ色の少年がみつきをみてたたたっと近づくとその後から「とてとてとて」
と何かがついてくるような効果音が聞こえた。
その正体はみつきが人生でみたこともないような・・・モノ。
「なんや?あんさん固まってるみたいやな?」
しかも、しゃべるという機能付き。
そして日本でいう関西弁が聞こえたのはもう・・・。
「モチモン!・・・だっ大丈夫ですか?」


かちんっと固まっていたみつきだったが声が聞こえて
「あ、うん。」と曖昧な声で答えた。
しかもその物体を少年は「モチモン」と言う名前。

みつきには不思議でしょうがない。
「よかった・・・貴女には僕達みたいにこれみたなのはついてきました?」
「・・・ぇ、。」
≪これ≫というのは少年が言うに「モチモン」と呼ばれているものだろう、
そして、そのゴーグルの少年も―――――

「・・・とにかく、ここがどこだかわからないとな・・・」
「だからココはファイル島だよタイチ。」
ぴょんぴょんっとピンクボールがはねていると思ったら声がして
またみつきはその不思議な生物に遭遇して一歩足がたじろいだ。
でも・・・みつきは不思議とそのピンクボールみたいなモノに
さっきの「モチモン」よりも驚かなかった・・・。

どこかで見たことのあるような・・・・みたことのあるような感覚。
どこだろう、みつきがそう思っているとぴょんっと
みつきの元にそのボールがきた。
めがくりっとしている・・・ピンクのボール・・・。





「・・・≪コロモン≫?」

みつきの小さな声がそのボールのモノがわかったのか
「そうだよ!」と元気な声を発していた。
不思議とその言葉が出てきたのには驚いたが
その「コロモン」はきょろっと空を見ると
「タイチ〜!」と声を出しながらみつきから離れていった。

「・・・コロモン。」
コロモンはタイチが登った木に長いミミ(みたいなの)を使って登っていく。
それを見ているとみつきに近づいてきたのはオレンジ色の服を着た少年――――
「えっと・・・貴女は。」
「ぁ、あたしはみつき ・・・ 赤坂 みつき だよ。」
「初めまして、僕は・・・」
にっと笑ってみつきがその少年と話そうとしたときだった、
木に登っていた「タイチ」という
少年が「巨大な・・・クワガタムシ!?」と声をあげた瞬間
大きな羽音が聞こえ同時にその音が大きくなった。
そのタイチが登っている木にそのムシが激突してきたからであった。


しかし、タイチの俊敏な行動でなんとか命が助かったが
タイチを助けようとして口からアワを出して攻撃するコロモン・・・だが
その効力も虚しく地面にコロモンはたたきつけられた。

「コロモン!」
みつきが近寄ろうとした時、タイチが一歩早く出てきてコロモンを抱きしめた。
しかし、その赤いクワガタはまた出てきてみつきも驚いた・・・。
するとモチモンが「早く!ワイの後に付いて来るんや!」と言い素直に
走り出した。





*

ブーーーーン・・・・
その羽音が遠くに聞こえるようになってやっと安心したのか
みつきははぁっと小さなため息を吐き出した。
安全な場所と言って隠れたのは木の中。
木の中といっても中は空洞で「みためだけが木」というもの・・・。
その中に今 みつきたちはいまだ隠れていた。
「さっきの・・・えっと、クワガーモンでしたっけ?モチモン。」
「そや。あれは凶悪なデジモンなんや。」
「「へぇ・・・」」
感心したみつきとタイチの声が重なった、互いに相手を見るようになったとき
「なんとか無事だったのね。」
みつきでもなく、2人の少年でもない女の子の声が「木」の外から聞こえ出した。




「空!無事だったのか!?」
その木から顔をのぞいてみると帽子を被っている女の子と
隣に・・・また、変な生き物。
その生き物も声をだしているみたいで
みつきの眉間の皺がちょっと額に表していた。
ふと空はタイチの隣にいる子をみて、「あー!」と声をあげた。

「みつきじゃない!ほら!あたし!」
「・・・って空!?空なの!?」
まるで昔からの友達のようなものみたいに
きゃー!と2人が手をぎゅっと力を込めながらも嬉しそうな顔をした。
2人の少年は全然訳がわからなかった。

空がまさかみつきのことを覚えているだなんて、みつきも驚いてしまった。
しかも自分が知り合った子も一緒にわからない所に飛ばされるだなんて――――。

「おい空。そいつ誰なんだよ。」
「・・・あ、太一と光子郎くんは分らないんだよね。」
正規のサッカークラブに所属している太一と光子郎と空。
三月が7月31日の昼に学校で来ていたのをこの2人の男の子は知らないのだ。
空は紹介し様とした時にまた草むらから音がした。
みつきたちの前に出てきたのは・・・真っ白いモノがトコトコとでてきて
目をパチパチとさせ「こっちだよー!タケルー!」と声を出して誰かを呼んだ。


すると視線の先からグリーンの帽子を被った小さい少年と
そのグリーンの帽子と同じくらいの色のノースリーブのTシャツを着ている
金髪少年が目の前に出てきた。



「ヤマト!」
太一のこの声を聞くまで正直みつきには目の前にいる2人が自分の知っている
「ヤマト」と「タケル」だとは思わなかった。
同時にヤマトもタケルも太一達の側にいるのが幼馴染であるみつきだとは
全然予想つかなかったのである。
「ぁ・・・」
トコモン〜!と声を出してタケルはトコモンに笑顔で抱きつくとふと目の前にいる
キャップ帽子を被っている少女をみて、口が半開きになったのを忘れた。
「・・・みつきさん!」
ぎゅっとみつきの所から走り出して少年:タケルが抱きついてきた。
その光景はまるで生き別れになった姉弟の再会にも見える。

「タケルくん!元気にしてた?」
「うん!元気にしてたよ!」

ぎゅっと握り久々の再会にみつきも嬉しそうだった。
ちらりとヤマトをみると目が合ってにっと笑っていて心が穏やかになった感じがした。





次にめがねをかけた少年がぎゃー!っと声を荒げ次にはプカモンという
ものがでてきて・・・。
「(正直こういうマジメな人は苦手。)」
ちゃっかりと好き嫌いが出てきてしまった。



互いに自己紹介をしてみてみることになった。
点呼確認だとメガネの少年が言葉を紡ぎだした。
お台場小学校5年:八神太一
同じく5年の:武之内空
また同じく5年の:石田ヤマト
6年生の:城戸丈
4年の:泉光子郎
2年の:高石タケル。
・・・そして。



「お前は?」
太一はみつきの目の前に来て自己紹介がまだな
みつきを見た。
みつきはモチロン初対面が多いので注目されてしまうのもしょうがない。
改まるのは正直性にあわないみつきはちょっとわたわたと内心が騒ぎ出していた。
「あっえっと・・・」
「・・・・みつきは俺の幼馴染だよ。」
助け舟を出したのはなんとヤマトでみつきも「そうそう!」と頷いた。
「みつき みつきっていうんだ。よろしくね。」
にっと笑う顔に安心したのもつかの間だった。








「キャー!」








誰かの声が森の中から聞こえてきたのだった。
その声は太刀川ミミという可愛い少女だというのは次回の話――――――

Suzuno Asaka
Dream Novel 2006,1213


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