01
「女性死神協会?」
「そう!みょうじ副隊長一応はいってたわよね!?」
「まー昔入ってそのままかなぁ…最近あんまり係ってないけど」

とある昼下がり、珍しく五番隊舎を訪ねてきたのはかつての部下であり、現十番隊副隊長の松本乱菊。丁度おやつ時という事もあり一緒にあんみつを食べに行こうと誘われ、ついついその誘いに乗ってついてきたのが十分前の話。書類に埋もれる自分の隊長を人身御供に差し出し足蹴にして命からがら食るあんみつは格別にうまい。
もくもくと食べていると同じく目の前で抹茶あんみつを食べていた乱菊が少し身を乗り出しながら突然そんな話題を振っきた。
女性死神協会とは護廷十三隊にいる女性達が立ち上げた組織で、死神で女性だったなら誰でも入れる女性による女性のための協会である。心が女性っていう人は、会長とか理事長に聞いてみないとわかんないけど。
まぁそんな協会だから私だって一応昔入ってそのままだ。副隊長になりたての頃真子に何かされたら協会の理事である卯の花隊長に泣きついていたのももう百年も前の話。いまはまぁ、それなりに円満だから泣きつく事もなく、協会のメンバーも代替わりしているためにあまり会議とかにも出席してない。昔はリサとかひよ里とか白と一緒に会議に言ってたけど、一緒に行ってお菓子食べて終わったけど。

「今日の夕方から会議があるから是非来てほしいんだけど、お願いできないかしら?」
「可愛い乱菊ちゃんの頼みを聞いてあげたいのは山々なんだけど…うちの三席様の監視の目が厳しくて…ガクブル」
「大丈夫!雛森にはもう話はつけてあるから!!」
「本当!?やった!じゃあ行く!!!」

さらば書類整理。これで今日の仕事サボれるぞー!
嬉しい事があった時に食べるあんみつも格別にうまい。と、舌鼓を打ちつつ残される真子に何かお土産とお詫びと賄賂を買ってった方がいいかな、と思案する。真子何食べたいかなー甘いモノでいいかな、ちょっと高いモノの方がいいかな。

「乱菊ちゃん、なにがいいかな」
「へ?なにが」
「仕事押し付けちゃった真子へのお詫びとお土産と賄賂の品…」
「…相変わらずラブラブね」
「え、ちがうよー何か買ってかないと絶対怒るもん拗ねるもん」
「平子隊長でしょー?あの人って新しいものとか流行とか好きだから。この前新装開店した店のおはぎとかどうかしら?」
「おーそれいい!じゃあ後で寄ってってもいい?」
「いいわよーじゃああたしもあいつに何か買ってってあげようかしら」
「ギン仕事やってるー?」
「最近はやらざるを得ない状況だから嫌々やってるわ」

くすくすと女の談笑とは話題がコロコロ変わるものの終わりが見えないもので、のんびりしすぎたせいであんみつに乗っているアイスが解ける程に談笑してしまった昼下がり。
いそいでおはぎを買っていくと真子はすっごい不機嫌そうだったけど、どうやら前々から食べたかったものらしくすぐに機嫌を直してくれた。雛森ちゃんにお願いして真子も休憩を取って、その隣で私は雛森三席に見張られつつ泣く泣く仕事をするのであった。



そして日が沈んだ夕方。いそいそと帰り支度をする副隊長と三席を横目で見つつ、隊長は隊長らしからぬ態度で不貞腐れていた。

「じゃ、お先!!」
「すいません隊長、今日だけはどうしても副隊長を連れてくるように言われてて…」
「こいつがなんの役に立つっちゅーねん」
「失礼な!!真子のハゲ!!!もーこんな奴ほっといて早くいこ、雛森ちゃん」
「はい。隊長おつかれさまです」
「気ぃーつけてなー」
「また明日ねー真子ー」

眉間に皺を寄せたまま残業する隊長を残して五番隊舎を後にする。普段なら絶対副官と三席を先に帰すなんて事はないのだけれど、あの真子だって理事の卯の花さんには逆らえまい。なんてったって真子より隊長歴長い、怒ると超こわい。
そんな訳で女性死神協会の会議を「今日だけ」優先してくれた。

「私も今度から会議参加しよっかなー」
「ダメです。副隊長は仕事終わっていない状態での会議の出席は絶対にさせませんからね」
「相変わらず手厳しい…」
「当たり前です。隊長が頑張ってるのに副隊長だけサボるなんて…それにお二人とも付き合ってるなら、もう少し互いに協力しても」
「仕事に私情は挟まないので…」
「単に二人とも書類整理したくないだけでしょう?もう」

という感じにうちの三席は非常に優秀で非常に厳しい。前はあんなに恋する乙女だったのに、今では仕事の鬼だ。
隣の自分の部下にビクビクしつつ会議場までとぼとぼ歩く。上官の威厳なんて五番隊には無いのである。

つづく。


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bkm
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