15
肩にもたれかかった重みがじんわりとさらに重くなった。視線をずらせば本格的に眠ってしまったらしいなまえが安らかな寝息を立てて眠っていた。この位置から見るとまつ毛がかなり長く月明かりのかげでうっすらと影を落としている。肌も白いせいで夜の闇のせいかその白さが際立って明かりを発しているように錯覚する。
本当に見た目は愛らしい少女だが今は酒のせいで頬を少し赤らめているせいで少女のくせに妙に色香を漂わせている。
人間というものはギャップというものにひどく弱い。見た目は未だに少女というようにふさわしいくせに酒は飲めるし胸もでかいし、この女は相当にやっかいだ。そして酒に弱くはないが酒を飲むとそこそこ気分が高揚するのかいつも無防備なくせに更に警戒心がなくなるのだから、彼氏の身である自分的には正直酒は飲ませたくない。周りの男の目も、こうして簡単に惑わされる自分にも毎度自制しているのだから。
ああ、でも、今日くらいはそんな自制は利かせなくてもいいだろうか。今日はもう年末で、今年やらなければいけない事は全て終わらせて、自分自身もこうして酒を煽っていていつもよりは酔っていて、なにより明日は休みなのだから。少しだけ、この白く透き通る肌に触れるくらいは許されるだろうか。

「なまえ…」

寝やすいように肩枕からひざまくらにしてやる。頬にかかった邪魔そうな髪を祓い避けるとまだ眠りが浅いのか小さくうめきながら寝返りを打つ。
人の膝の上によくここまで熟睡できるなといつも感心するが、それがなまえのいい所でもあるし、安心しきって身をあずける姿を見るのは全ての信頼を預けられているようで心地よい。
仰向けになって寝ている恋人の顔を直視して、更に自制していた箍が外れた気がした。

少し開いた唇に己のそれを重ねあわせる。触れるだけの口づけではなく、いつもより熱い唇を食べるように自身の唇で挟むようにゆっくりとその柔らかさを味わう。
少し意気が苦しのかなまえの鼻から小さく息が漏れた。

「今年もよろしく頼むで、なまえ」
「…んむ」

好いた女の唇を貪りながら俺の一年が終わりを告げた。
もう一度、今度は触れるだけの口づけを送りながら遠くで鳴る鐘の音を聞く。

あけましておめでとうさん。


prev next

bkm
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -