にせものamabile。 | ナノ

 G-dur 9

「やったああーーーーーーーーー」
「あはは、匠ちゃんよかったね」
「うんっうんっ、潤ちゃんほんとにほんとにありがとお!」
「これで僕たち、園田会長親衛隊だね!」
「そうだねえ!お茶会!」

っていうよりピアノ〜!

「そういえばお茶会、園田さま結構来てくれるみたいだよ!」


うん、とってもどうでもいい!


「でも潤ちゃん、ほんとに響会長のことよく知ってるねえ。テストすごかったあ」
「あはは実はそうでもないよ、僕1問目わかんなかったし!園田さま園田さま言ってたから、下の名前なんだっけ?ってなっちゃった!そっか、”ひびき”って言うんだね」


潤ちゃんてば、天然?"きらいじゃないけど避けてる食べもの"なんて難問がわかったのに、名前が出て来ないなんて、ちょっとおもしろい。


「誰にも内緒だけど、」
「?」
「僕、出る問題もともと知ってたの!親衛隊のひとが園田さまに妙なインタビューしてた、って聞いたから。問題と答えに間違えがないか確認してたんだね、きっと。あとは問題つくるため」
「ほほう」
「誰とは言えないんだけど、それを聞いてた友だちが、僕に教えてくれたんだ!」
「そっかそっかあ」


誰とはいえない、って、絶対に村崎くんでしょ。彼は生徒会に入ったらしいし、中学のときから潤ちゃんと村崎くんは仲がいいってのむちゃんが言ってたし。でも、それはみんなには内緒なのかなあ。



「まあ実際”嫌いではないけど避けてる食べ物”っていう問題は、捨て問題だったとはおもうけどね」


くすくすと潤ちゃんが笑う。そりゃあそうだ。だからあえて、あの問題の答えはうつさなかったもの。カンニングがばれたら大変!ふふふ、僕もこういうところには頭がまわるのだ!


「あ、今度新入生歓迎のお茶会があるらしいんだけど、一緒に行かない?」
「お茶会て、テストやったところでやるんだよねえ?」
「うん、そうだよ!あそこは園田さま親衛隊の部屋だからね!」
「じゃあ行くう!絶対に行くう!」
「す、すごいね匠ちゃんの熱気…」

僕も見習わなきゃ、なんて潤ちゃんは言うけれど、ぜったいおもってなさそう。のむちゃんが言うには、潤ちゃんがすきなのは村崎くんだというし、実際潤ちゃんは響会長に対してきゃーきゃー言っていないし。


というかそんな僕も、響会長に興味はないのだけれど。
とにかく、あのピアノが弾けるといいなあ。
テストのあと合格者に配られた「親衛隊の掟」を眺めながらほうっとため息をついた。


すると、潤ちゃんもひょいっと掟の紙を覗き込んだ。


「あー、結構厳しいよね、この掟」
「うー…ん」
「いや、お近づきになりたいとかそういんじゃなくて、破ったら制裁、ていう誓約書がこわくなかった?」


テストのあと、改めて説明された掟。これをしちゃだめです、あれもダメです、それもダメです…ってたくさんダメなことが書いてあった。

簡単に言うと、響会長と個人的に接触しないとか、連絡をとらないとか、そういうのだった。もし破ったらこうなりますよ、という説明とともに、署名まで書かされたけれど、まあ僕にはほとんど関係のないこと。


だって響会長と近づくつもりも予定も希望もないもの。


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