「……やや、アカン…!」

口元に当ててお留守になっていたはずの手が、再びスカートをしっかりと押さえていた。
構わず捲ろうとしたら財前が本気で暴れだしたので流石に俺も一旦手を止める。

「なに、何がアカンの。」
「イヤや。絶対イヤや!」
「別に嫌な事はせぇへんよ。気持ちようしたるから。」
「イヤや!!」
「………………。」

かなりギリギリの状態ではあったが無理強いはしたくないので、財前の隣に座って顎を引き寄せる。
いくらその場の勢いと言ってもやっぱり雰囲気は大事だ。
部屋中ピンク色の壁だとか薄暗い照明だとか、何人もの男女の性の営みを見守ってきただろう、この大きなダブルベッドだとか。
そんなのだけで俺としては十分盛り上がれると思うのだが。
スカートに手を伸ばすのはやや性急すぎたかもしれない。
俺がキスしようとしているのを察した彼は、先程とは打って変わって素直に目を閉じた。

「……ん……ッ…!」

どうやらキスは嫌じゃないみたいだ。
何度か唇を啄むように軽く口付けた後、舌先で唇をなぞって催促すると薄らと口が開いた。
そこから自分の舌を中にねじ込む。

「………ッ、ぅ…ん…!」

もしかしなくても初めてなのだろうか。
初めてじゃないとしたら相手の女の子が可哀想すぎる。
そのくらい財前のキスはたどたどしくて、下手くそだった。
角度を変えて何度も唇を合わせながらゆっくり体重をかけると彼の身体は簡単に後ろに倒れ込んだ。
その上に折り重なり、彼の太股の辺りに既に硬くなりすぎた自身の雄を擦りつける。

「…ひっ…や、ちょ、なんで…!?」
「何でって。俺めっちゃ興奮してんねんけど。」
「いやっ…きもい…!」

そんな事を言いながら満更でもない様子だったので、何回か軽くキスをした後、もういけるかなぁと思ってスカートに手を伸ばすとピシャリとその手を叩かれた。
なかなか隙がない。

「なぁぁ、そこ触らせてくれんと先に進めんのやけど。」
「…先?先ってなんですか!何する気ぃですか!」
「いやいやいや。お前も男やから分かるやろ。こんな状態で止まれへんし。」
「……男やから…嫌なんやないですか…。」

ぼそっと呟くように言われたそれは、男同士で性行為をすることへの嫌悪感を露わにした言葉なのかと思って少し反省したのだが…。

次の瞬間、手を掴まれて導かれたそこが、財前の股間だと分かって俺はどうしようもないくらいに動揺してしまった。
自分で触ろうとするのと触らせられるのとではやっぱり心の準備的なものが違う。

「うぇ、え、な、なん、なに!?」

しかもそこはスカートの上からでも分かるくらい硬く、熱くなっていて。
俺は更に動揺した。

「……俺は男です。スカート捲ったらこんなんついてます。胸も見ての通りぺったんこです。」
「…………………。」
「きっとガッカリします。いくら女の格好してても俺は男やから、女の代わりにはなられへん。」

俺の目を見ずに、今にも消えそうな声でそう言った財前は何故だか泣いているみたいに見えた。
実際に涙が頬を伝っていた訳ではないけども、見ているだけでこちらまで切なくなるような、そんな表情だった。

「え、え、ちょお、急にどないしてん?」
「…何でもないっすわ。忘れてください。」
「や、そんなん言われても気になるし。」
「とにかく、俺は嫌なんで。まぁ、どうしても抜きたい言うんやったら触ってあげるくらいしたげてもええです…よ…ッ…!?」

最初は確かに財前の女装姿が可愛くて、女の子の代わりに彼を欲望のはけ口にしようとしていたのかもしれない。
でも財前のどうにも間違えようのない、男のものでしかありえない性器を触って尚、彼にもっと触れたいと思うのだ。
そのスカートの中身をまだ見たいと思っているのだ。

「…ちょ、ちょおッ……!」
「信じて貰えんかもしれへんけどな財前…俺はお前を女の子の代わりにしたい訳やないねん。」
「ぅあ…ぁ…!」

彼自身の手で導かれたそこをスカートの上から軽く握って扱いてやると、財前は身体を大きく跳ねさせた。
その隙をついて彼の股を大きく開き、そこに身体を割り込ませる。
財前は嫌がって抵抗したけどもそれは逆効果で、身を捩る度にスカートが捲れ上がって白い太股が露わになった。
思わず生唾を飲んでスカートの裾を捲り上げると、ついに俺が見たくて堪らなかったそこが、眼前に晒されることとなった。

「い、いや、いやや!」
「…………………。」

上を向いてふるふると震えるそれは、小ぶりではあってもやはりどう見ても男のものでしかなかったが、予想していた通り、スカートの中から顔を覗かせたそれに対して嫌悪を抱くことは全くなかった。
むしろ可愛い。あんなに小さくて毛も薄いのにしっかり勃起してるところとか。すごく可愛いと思う。

「財前のちんこ、めっちゃ可愛え。」
「…う、そ。嘘やそんなん。あんまりジロジロ見んといてください!もうこれでわかったでしょ!さっさと退いてや!」
「いや、無理やって。」

ほとんど衝動的に俺は財前の股間に顔を埋め、中心で小さく震える彼の性器を口に含んでいた。何の抵抗も無く。
そっちの気がある訳じゃないし同じ男の性器を咥えるなんて普通ならありえないことだけど、財前のならそうしたいと思った。

「……っ、あ…ぁっ…!!」

もちろんしたことはないけどされた事はあるから大体の勝手はわかる。
ゆっくり舌を這わせ、きつく吸いながら上下にスライドさせると、口の中の性器が少しだけ膨らんだような気がした。
最初は俺を止めようと必死になっていたが今はそれどころじゃなくなったらしい。
また顔を真っ赤にして、シーツをぎゅうっと握りしめて快感を堪えていた。







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