Childreeeen!!!




ちとにょた蔵で夫婦ネタ、子育て奮闘記的な感じのほのぼの若干ギャグ
レイさまリク
(謙光要素あり。白石と光がにょたです。千歳と白石の子どもは金ちゃんです)








「もーホンマ光かわええ!あーかわええ!」



蔵さんが勢いよくジョッキを傾げてビールを流し込んだ。相変わらずの飲みっぷりや。それにしてもどんなシーンでも彼女は美しい。



中学、高校とうちの部活の先輩やった蔵さん。呼び名は初めは白石部長、親しくなって白石先輩、さらに親しくなって白石さん。そして、彼女が結婚して「白石さん」ではなくなった今、うちは彼女を下の名前で呼んでいる。


蔵さんは中学時代からお付き合いを続けている千歳先輩と結婚した。いわゆる出来ちゃった婚で、蔵さんはめちゃくちゃ綺麗で若々しいけど、実は一児の母やったりする。千歳先輩の放浪癖は相変わらず治らない。彼は陶芸家として活躍しているらしい。蔵さん薬剤師、うちはOL、千歳先輩と蔵さんの同級生でありうちの彼氏の謙也さんは自動車関係の会社に就職し、それぞれ一生懸命働いている。それでも中学時代のようにこうやって集まれることはしあわせなことやと思う。



今日は前から約束してた、蔵さんとの久々の食事。場所は駅から近い居酒屋。帰りは謙也さんにお迎えに来てもらう予定や。今日は千歳先輩が息子さんの面倒を見ていてくれるらしい。酒豪な蔵さんは顔色一つ変えずに(少し顔が赤い気もするが)ビールジョッキを空けていく。うちはお酒は強くないから、甘いカクテルをちびちび飲んどる。あんま飲みすぎると謙也さんが怒るねん。




「何言っとん、蔵さんのがかわええやろぉ」
「いや!光は学生のころからうちのアイドルやで!うちのカワイイの定義をつめこんだような存在やからね!」
「うそつき。でも嬉しい!」
「嘘ちゃうのにーーー!」


顔色一つ変えずに、ってのは嘘やな。ちょっと、大分、テンション高め。


「せやけどいまだに信じられへん。蔵さんがママで!千歳先輩がパパ!」
「せやろ。ちぃホンマ父親の資格ないで。フラフラしてばっかやし!アホやし!たまに家おる時は寝てばっかやし!絶倫やし!無駄に盛っとるし!そろそろ落ち着けっちゅーの!セックスうまいからってちょーしのんなー!!!」
「ちょ、さすがに声でかいですからね」



蔵さんは千歳先輩のこと、「ちぃ」って呼ぶ。いや、言わせてもらうとあんたもちぃやからね、とも思わないこともない。せやけど千歳先輩が学生時代に「俺のことそんな風に呼ぶのは白石だけやけん、嬉しかぁ」ってこっそりうちに教えてくれたことがあるので、なんだかくすぐったくて微笑ましいのだ。



「そうや、金太郎喋るようになってん」
「ホンマですか!?うわー会いたいなぁ金ちゃん!」
「せやけどちょこっとしか喋らへんで。うちのこと見て『マー』とか。あ、これたぶんママや。ちぃのことは『チー』って言うねん。あとはご飯のこと『まんま』って言ったり、猫のこと『ニャー』って言ったりな」
「へぇ〜!かわいい!うちのこと覚えてくれとるかな。」
「そうそう!ちゃーんと覚えてんで!光と謙也の写真、この前金太郎に見せてん!そしたら光のこと指さして『ぴー!』って!!」
「ええええ!!!なんなんそれめっちゃかわええ!!!あー早く会いたい金ちゃん!!」
「でな、謙也のこと指さして…何て言ったと思う?」
「え、わからん!教えて!」
「それがな…『ニャー』って!」
「あははは!謙也さん猫やと思われとるん!?」



楽しく話に花を咲かせていると、蔵さんの携帯が鳴った。



「あ、ちぃからや。ごめん、出てもええ?」
「あ、はい」
「もしもし、どないした?…はぁ!?ちゃんと見ておいてって言ったやんけ!!ドアホ!!…ごめん光、謙也呼んでもろてもええかな?」
「はい…どないしたんですか?」
「金太郎がいなくなった」
「えぇ!?」
「たぶん大丈夫や。ごめんなぁ巻き込んで。いくらうちの子がやんちゃやからっていなくなるとかありえへんわ。」




それから謙也さんがお迎えに来て、蔵さんと千歳先輩の家に急いだ。






「く、くらぁ〜〜〜!」
「うるさい落ち着け」
「どぎゃんしよう〜〜〜金ちゃんが〜金ちゃん〜なしていなくなったとぉ〜〜〜!?」
「うるさい泣くなみっともない!」
「白石相変わらずやな…」
「あんな千歳先輩見たくなかったっすわ」
「ちゅーか俺明日も仕事やねんけど」
「ご苦労様です」
「お礼はちゅーでええで!」
「はぁ」
「え、突っ込んでくれへんパターン…?」



蔵さんが泣きながら腰にまとわりつく千歳先輩をずるずる引きずりながら蔵さんはガンッ!!とおしいれの扉を開けた。…中にはすやすやと眠る金ちゃん。



「き、きんちゃぁぁぁ〜ん!!」
「うるさい!金太郎が起きるやろが!!」
「うぅ〜よかった〜きんちゃん〜〜〜」
「あんなぁ。ここ金太郎がよく入り込むとこやねん。そんなことも知らんってあんたやばいで。いつまでたっても放浪癖は治らへんし…もっと自覚持ちや!一応父親やろ!」
「うぅ〜蔵ごめんなさいぃ〜」
「まぁもし離婚するようなことがあれば親権はいただきやな」
「え!なんでそぎゃんこと言うとや!!蔵〜俺を捨てんで〜!!」
「やからうるさいアホ!たとえ話やたとえ話!とにかくちゃんとせぇよってことや!あ、今度連絡もなしにどっか行ったらうちにあるトトロぜーんぶ光にあげてまうからな」
「え、いらん」
「光ちゃん!!お願いやけん俺のトトロ持っていかんで!!」
「え、いや、いらんから」




なんやかんやで仲よさそうにしとる蔵さんと千歳先輩が微笑ましくて、謙也さんと一緒に笑ってしもた。



二人がぎゃあぎゃあ言い合いをしていると、金ちゃんが目を覚ました。うちと謙也さんを指さして、キラキラした目で、



「あー!!ピー!ニャー!!」



蔵さんが「けんにゃやけんにゃ!!」とか言い出して、謙也さんが拗ねるくらい3人で大笑いした。





これからも、こんな風に大切な人たちとの時間がゆっくり流れていったらええな。そんで、いつかは金ちゃんみたいなかわええ子ども…謙也さんとの間に、出来たらええな。
…うちのおなかに宿った小さな命に気付いてるのは、このときはまだ神様だけやった。






***
あんまギャグっぽくなくなっちゃった…。
千歳先輩がかっこわるくてすみません(笑)
リクエストありがとうございました!





- 72 -


[*前] | [次#]
ページ:




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -