goodbye nightmare





7万打フリリク企画
謙にょた光で甘甘
りささまリク












「俺、好きな女の子出来たんや。やから光、ばいばい。今までおおきにな」


大好きな大好きな謙也さんは、昨日までうちを可愛がりまくってた大きな手で、うちの知らん女の子の頭を撫でて、手を繋いで。「行かないで!」と叫びたいのに声は出ない。足も動かない。背中を汗が伝う。


…謙也さん、嫌や!謙也さん!!













がばっ


「はぁっ…はぁ、はぁ…」


目の前は真っ暗。下にはふかふかのベット。全身汗だく。横には…大好きな謙也さん。


え、さっきの夢やったん?いや、めっちゃくちゃリアルやったもん。それとも今が夢?


「ん〜……光ぅ?どないしたん?」


うちが飛び起きたのに気がついて謙也さんも起きてくれた。愛おしそうに頬を撫でてくれて。
少しキシキシした髪とか、すべすべのほっぺとかをぺたぺた触る。…あぁ触れた。どっちが現実なんか分からんけど、謙也さんはうちの目の前におる。


「ちょ、光?」
「けんやさんや…けんやさん…ぅ、ふぇ…え、」
「光、どないした?怖い夢でも見たか?」


ぎゅーっと抱きしめられて、幸せすぎて。もうこれが夢でもいい。そのかわり、夢の世界に一生閉じ込めてよ。


「やって、うぇ、けんやさん、ひ、うぅ…うちのこと好きやって、っ、く、言ってくれたのに…っ」
「うん、大好きやで?」
「し、知らん、女の子の、こと、うぇ、すき、なった、言うて、ばいばい、て…うち、なんて…もういらん、みたい、っ、に…」
「ばいばいなんてせぇへんよ」
「っ、おいて、いかんで…っ」





謙也さんはうちのこと更にぎゅうぎゅうに抱きしめて、背中を優しく摩ってくれた。あぁ、これは夢なんかやない、と思う。多分。やって、こんなにも暖かいんやもん。



「光、怖い夢見てもうたんやな。可哀相やったな」
「うぇ、ふぇぇ、う…」
「よしよし、泣かへんのー。謙也さんが好きなんはずっとひかちゃんだけですよー」
「う、けんやさん…うぅ、うわぁぁあん!」



わんわん泣いてもうたうちの背中を謙也さんは優しく撫でながら「阿保やなぁ、光」って笑ってくれた。謙也さんの胸に顔を埋めるといつものお日様のにおいで、安心して余計に涙が出た。














「光、落ち着いた?」
「はい…ごめんなさい」
「ええねんええねん。ほら、まだこんな時間やで?もっかい寝よか」
「………いやや」
「え?」
「やって、うち…もっかいあの夢みたら、どーしよう、って…」



謙也さんはもう寝たいかもしれん。こんな時間に起こしてしもて、我が儘を言うて。ごめんなさい、でもアカンの。謙也さんが離れてくと思ったら、怖くて震えが止まらへん。



「んー、ほな今までの思い出話でもしよかっ!」
「え…?」
「まず去年の春からやな」



よいしょ、て起き上がって謙也さんは後ろからうちを抱き抱えてくれた。うちの髪を優しく撫でて語り始める。



「えー、忍足謙也当時13歳。初めて出来る後輩にドキドキしとった!そんで入学式の朝、ピアスじゃらじゃらつけとる女の子ぉ見つけたんや」
「……うち?」
「そう。不良かと思ったわ。せやけどその子、一生懸命桜写メっとって。むっちゃかわええなーって思った」
あ…ブログ載せようと思って撮っとったやつ。


「それから光がテニス部入って、ヨッシャー!て思った!絶対仲良ぉなったろって。光、最初話し掛けてもツンツンしとったけど顔は真っ赤やったからもうむっちゃ可愛くて。気ぃついたらもう落ちとった」
うちやって、金髪でキラキラ笑う謙也さんのことすぐに好きになった。


「光が部活終わったあと一人で自主練しとるのも本間偉いなって思ってな、一回ドリンクとタオル置いといたことあんねん。あれむっちゃドキドキしたわ!」
あ、ちなみにあのタオル未使用やったからな!とか言うとる謙也さん。知ってますよ。うち、謙也さんのこと見すぎてタオルの柄とか覚えてもうたくらいやもん。あれ、めっちゃ嬉しかったなぁ。嬉しすぎて泣いたもん。


「去年付き合いはじめたあとすぐ夏祭り行ったとき光恥ずかしい言うとったけど浴衣着て来てくれたやん。本間可愛かった」
めっちゃドキドキしたけど、あれ着てってよかった。謙也さん、可愛い可愛いっていっぱい言ってくれたから。



「それでな、初めて光とシたときもな、俺、幸せすぎてしゃーなかったんやで。人ってこんなに誰かのこと好きになれるんやって初めて思った。好きで好きで、口で言うても伝えきれへんくらい好きで、格好悪いけど泣いてしもた」

それは、うちの方や。こんなにも愛おしいと思える人は、これから先もずっと謙也さんだけ。もしかしたらうちらはこの長い人生の途中で別れを迎えてしまうかもしれない。違うパートナーと出会うかもしれない。それでも、こんなに好きにはなれへんやろう。まぁうちが謙也さん以外を好きになるとかありえへんけど。


あぁ…なんか眠くなってきてもうた。うち最低や。謙也さんのこと起こしてしもたのに。寝たらあかん。せやのに瞼はどんどん落ちてくる…。



「光?もう眠い?」
「ねむくない、です」
「嘘つかんでええよ。ぎゅーってしといたるから寝よ。な?」
「けんや、さん…」
「明日はお昼まで寝ような。そんでご飯食べに行こ。あと俺の髪も染めて?もう根元黒いねん。約束な?」
「うん…」
「光、好きやで。ホンマやで。ホンマのホンマに大好きや。光のことこれからもめっちゃ大事にするから、ずっと一緒におってな?」



意識が落ちる寸前、うちも大好きですって言えたかな?覚えてないから、特別に明日も言ってあげよう。



これからも、傍にいてください。大好きでいますから、大好きでいてください。大事にしますから、大事にしてください。


次見た夢は、優しい謙也さんのすごく幸せな夢やった。











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リクエストありがとうございました!





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