刻むキザム気障む






小さくて形の良い耳には5つものピアスがひしめき合って自己主張しとる。俺は怖いしよぉ真似出来へんけど、どうやら光曰く痛いのがストレス発散になるらしい。
それでも、光が言いたいことはわかってやれへんかった。


「駄目や。今回ばかりはあかんやろ」
「ええやないですか、謙也さんのケチ」
「ケチやない!お前俺と一緒にプール行けへんくなってもええんか?!」
「謙也さん別にプールなんて好きやあらへんやないですか」
「好きです!大好きです!今年の夏からお前は俺と週5でプール!」
「嫌やめんどくさい!」


俺は光が好きやから、光がしたいって言うことはさせてやりたいし、応援やってしたい。でも今回はあかん!
光は刺青をいれたいそうな。

別にええんやで?刺青やっておしゃれの一部やし入れとる人やってこの世にたくさんおる。決めるのは光や。
せやけど、こんなん俺のエゴやけど!俺は光の綺麗で生っちろくてすべすべな肌がすきやねん!

それにやっぱり、光はストレス発散やとか言うとったけど、俺は光に痛い思いしてほしくないねん。苦しい顔とか見たくないねん。やっぱどう考えたってエゴやんなぁ…。


「てか。光はそこまでして痛い思いしたいん?」
「俺を最強のマゾみたいな言い方すんのやめてもらえます?」
「やってそうやんかー」
「…別に、痛い思いがしたくて刺青入れたいわけやないです。あんた阿呆ちゃいますか?」
「え、じゃあなんでなん?」


光は少しだけ顔を赤く染めて呟いた。
「入れたい柄があるから…」
「なんなん?」
「…星」


光は阿呆や。俺は本間にお前が好きやから、いつかお前がかわええ女の子見つけて、周りから祝福されるような恋愛がしたいって言うんならいつだって手放してやる。でもお前が俺を好きやって言うんならずっと一緒にいてやる。こんなけお前のこと好きな奴なんか他におらんで。


「そんなんいれへんくたって俺はお前から離れていかんから大丈夫やで。そんなんより俺はお前とプール行きたいんやけど」
「…いつ行きましょうか、プール」

俺はつくづく光が好きやなぁって思う。でも光も、一生懸命俺のこと好きでいてくれるんや。体に星柄入れへんくたって浪速のスピードスターはいつまでだってお前の傍にいてやるから安心しぃや!





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