メリクリナイト





「光くんお願い!イブの日、優のこと寝かしつけたって!」

「ひかー!いっしょにさんたさん、まってよう!おきとればきっとあえるねん!」



上から義姉さん、甥っ子の優の台詞。今日はクリスマスイヴ。


優がまだちっこいからクリスマスパーティーやりたいってうるさくて、そんでをイヴにやることになって。仕方ないから俺はクリスマス当日に謙也さんと過ごすことになった。まぁ普通に泊まり行くだけやけど。


そしたら優が「サンタに会うために寝ない!」なんて言い出して。俺は義姉さんに「優を寝かすこと」、優に「寝そうになったら起こすこと」を頼まれた。



義姉さんも母さんも張り切ってご馳走を作って、ケーキも食べて。そんで今俺は寝室に優とふたりっきり。優はもううとうとして、瞼が下がってきとる。

俺はわざと優の眠気を促すように一定のリズムでとん、とん、ってしてやった。起こしてはやらない。
しばらくしたら優は寝てしまった。

はぁ、本間にめっちゃ可愛え…。優の寝顔は、まるで天使。俺自分絶対子煩悩なると思う。でもこれからもずっと謙也さんとおる予定やから子供はやっぱり我慢するわ。




俺だって昔はサンタを信じてた。優みたいにサンタに会いたくて馬鹿みたいに頑張って遅くまで起きてたことだってあった。まぁ結局は寝てまったんやけど。



せやけど、枕元にプレゼントが置いてある幸せったら、本当にすごいもんで。無理して起きとるよりそっちのほうがずっといい。やから優のことも寝かせてやった。断じて義姉さんの善哉に釣られたわけやないで!




優が大きくなって、サンタの存在を疑い始めたら、教えてやりたい。
クリスマスの間だけは、誰でもサンタになれるねんで、って。誰かに幸せを与えることが出来たら、その人はもうサンタクロースなんよ。

これを教えてくれたのは、もちろん俺の、俺だけのサンタさん。





おもむろに携帯を掴んで電話をかける。やっぱり明日までなんて、俺は待てへんわ。早く、早く幸せにして?








「おばんでーす」
「おー光、どないしたん?甥っ子くん寝た?」
「うん。謙也さん、メリクリ」
「おーメリクリー」
「あーキスしたいなー」
「せやなー……ってえぇええぅえ!?」
「あ、サンタさんとケンヤさんってなんか似とりますね」
「ひ、光!それより今!おまえ!!」



「俺ん家、煙突ないですけど来てくれますか?サンタさん?」





切羽詰まった声で「今すぐ行くから」って言われたあと電話はすぐ切れて。


いつも貰いっぱなしや悪いから、今年は俺も謙也さんのサンタさんになってやりますわ。恋人はサンタクロース、ってやつやな。

プレゼントは、俺でええですよね?




Merry Christmas…★





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