35℃の憂鬱





「ねつでた、やすむ」
このメールが来たとき俺はいてもたってもいられんくって理由をつけて学校早退した。おとん、おかん、ごめんなさい。謙也は不良息子です。


光んちまでダッシュしてったら甥っ子くんと義姉さんがちょうど玄関から出て来たところやった。

「あら〜謙也くん。学校さぼってお見舞い〜?いーけないんだっ」
「う…こ、こんにちは」
「なぁ、今から出かけるんやけど、うち誰もおらんねん。やから急いで行って帰ってこようと思てんけど、謙也くんおるならちょっとゆっくりしてこようかな。光くんのこと任せてええ?」
「は、はいっ!」


やらしいことしたらあかんで〜言うて(義姉さんは俺らの関係を知っとる)義姉さんは出掛けてった。玄関鍵閉めて光の部屋に向かう。

「ひかるぅ〜…」
そっと部屋に入ると、光は当たり前やけどベッドで寝とった。
いつもツンツンしとる髪は汗でへにゃんってしとってでこに冷えピタ貼っとる。綺麗な唇を少し開いて苦しそうな呼吸を繰り返し、顔は真っ赤や。

ちょっと汗拭いて冷えピタ新しいのに変えてやったけど光が起きる気配は全然無い。相当しんどいはずや、可哀相…代わってやれればええのに。


「けん、や、さん…」
適当に漫画とか読んどったら光が起きた。起き上がろうとして咳込む光は目がうるうるしとって…あかん、可愛いすぎや。


「無理したらあかんって。大丈夫か?」
「ぅ〜…頭痛い…」
「ゼリー買ってきたけど食う?」
「…謙也さん、はよ帰らな移りますよ」
「別にええわ。病人が余計な気ぃ回すなや」
「ねーちゃんは…?」
「出掛けとるよ」

光はよろよろしながらベッドから出て抱き着いてきた。体あっつい。あ、汗かいとる。あとでTシャツ変えさせなあかんな。

「謙也さん…しんどい…」
「大丈夫やでーすぐようなるからなー。」
「気持ち悪いぃ…」
「大丈夫か?吐く?」
「ん、いい…。はぁ、いっそつわりやったらえぇのに。妊娠しとればええのになぁ」
「に、妊娠て…?!」
「なぁ謙也さん、お願い。手握って。寝るまで一緒におって、俺が寝るまででえぇから」
「…あぁ、一緒におるよ。せやからもうちょい眠ろな」


もそもそベッドに戻った光の手をぎゅっと握る。優しくなんか出来ん、強く強く、痛いくらいに握った。それでも光は「もっと、強く…ぎゅーって」って言った。

光が寝るまでとか言っとって、結局俺も手繋いだまま寝てもうた。目が覚めたときも光は俺の手を握ったままで、嬉しかった。


俺と光の温度はほとんど変わらんくなっとった。光の熱が下がったのか、はたまた光の風邪を俺がもらったのか。

ま、どっちでもええか。光が元気になれば、な。



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