心音に眩暈(拍手)
カチコチカチコチ。
今日は週末やから光が泊まりに来とる。せやけど今日は親戚が遊びに来るから家でするのは無理やなーってなったから部室でやることヤってきた(やって思春期やもん!きっと明日白石に怒られるのは俺一人やけど)。二人で同じベットに入って1枚のタオルケットに包まって、明日は一緒に買い物行く約束しとるからはよ寝よか、て言っとったんやけど。
カチコチカチコチ。
もぞもぞもぞもぞ。
カチコチカチコチ。
もぞもぞもぞもぞ。
光は寝られんみたいやった。いつもはえっちのあとやからくてん、て寝てまうんやけど。元々寝付きが悪いタイプでもなさそうやしなぁ。
「ひかー、寝れんの?」
「…うん、あれ気になるねん」
「あれ?」
「あの、カチコチカチコチってやつ」
「あぁ、時計の針の音のこと?嫌なん?」
「……うん。やって、急かされとるみたいで嫌やんか。カチコチカチコチ言いよるの、自分のペース乱されとるみたいやし」
いつもは疲れきっとるからよう聞こえんみたいやしな、そういえば光の部屋の時計はデジタルやった。こいつ、見た目通りっちゅーかなんちゅーか、結構神経質なんよな。
「光、どないする?疲れることしてみる?」
「!阿保か!下に仰山人おんねん!なんのために部室で…!」
「分かった分かった、時計の電池抜いたるから」
時計が動かなくなると部屋は途端にシンとする。すると光はさっきまでが嘘みたいに目をとろんとさせてうとうとしだした。……こんくらいええやろ。えい。
ちゅ
光は驚くこともなくふにゃりと笑って「謙也さんは時計の音がないと寝られへんのですか?代わりに俺の心臓の音でも聞いといてください」って言うて自分の胸を俺の耳に押し当てるように頭を抱え込んでそのまま眠ってしまった。
トクトクトクトク。
光の穏やかな心臓の音が頭に響く。理性吹っ飛んで逆に寝られへんくなるかと思ったけど、そんなことはなくて。…あぁ、落ち着く。どんどん眠くなってきた。
「おやすみ、ひかる」
おやすみ、大好きな君。また明日、一緒に笑おうね。
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