指先まで満ちる赤(謙にょた光)





・光と白石がにょたです






忍足謙也先輩。うちの大好きな人。好きな色は白、そして赤。

謙也先輩とは白石部長に紹介されて知り合いになった。あのモッテモテの白石部長が自信を持って紹介してくるってことはよっぽどえぇ人なんやろな…ていううちの予想はばっちり当たっとった。

謙也先輩はうちみたいな可愛くない無愛想な女にも構ってくれる。先輩はいつも眩しい。気付いたらもううちは先輩に夢中やった。

「あ、また赤いもん持っとる。光ちゃん赤好きなん?俺も赤好き、あと白」
「赤ちゃいます、カーマインです」
「へーなんやお洒落やなぁ!」
ほらまたや。今のやって赤が好きですって言えば可愛かったんに、なんやねんカーマインとか意地張って。本間自分が嫌になる。


足にペディキュアを塗った。学校あるけど靴履いてまえば分からんし。色は、赤。カーマインじゃなくって赤や。うちの好きな先輩の好きな色。

赤く染まっていく爪を見ながら考えた。白石部長と謙也先輩のこと。白石部長は綺麗でテニス上手くて勉強出来て、むっちゃ完璧な人や。好きにならんわけがない。そんでも足先だけは謙也先輩色に染まった気がして嬉しかった。ただの自己満足やけど。









「ざーいぜん。ちょっと飛ばしすぎやで」
「はぁっ、は、大丈夫、ですから…はぁっ」

謙也先輩が告白されとるとこ見てまった。そりゃ先輩かっこええし優しいし、モテるのなん当然やんなぁ。先輩、「好きな人おるからごめん」て。それってきっと白石部長のことやんなぁ。

「財前、もうあかん。あんたちょっと休憩しなさい。お願いやから言うこと聞いて、な?」


うちは渋々水呑場に行った。外は暑いし自分の体も熱いし水は冷たいし心は痛いしかなわん。部長が言う通り飛ばしすぎたのかもしれん、足首あたりが少し痛い。靴と靴下を脱いで思い切り溜め息をついた。


「光ちゃーん!」
え、謙也先輩…。なんで先輩がここにおるん?
「白石に、体調悪そうやって聞いて…んで、大丈夫なん?」

先輩は、どこまでも優しいんやね。…あぁもうあかん。今うちあの告白現場見て焦っとる。この人が好きや。たとえ謙也先輩が白石部長を好きでも、うちは謙也先輩が好き。

「ちょっと無理しすぎただけですから、大丈夫ですわ」
「無理したらあかんて!どっか痛ない?」
「足、ちょっと痛い。ちょっとだけ」
「本間か!ちょっと見せてみ」

優しくされると調子乗ってまうわ。なんて考えとったら目に飛び込んだのは赤。謙也先輩の好きな赤。真っ赤なうちの爪。

「…光ちゃんは爪の先まで綺麗なんやなぁ。めっちゃ綺麗な赤。あ、これ赤ちゃうか。光ちゃんが好きなんは、カーマインやろ?」

「……ちゃいます。これ、赤です。謙也先輩の大好きな、赤」

もう気持ちばれてまってもいいや。爪だけやなくて顔も今真っ赤やからもう隠しようがない。

「………やばいなんか俺にやけてまう、どきどきしすぎて死にそう」
「は」
「俺が赤が好きやって、知っとったん?」
「…はい。あとは、白でしょう。先輩前言うとったやないですか」
「覚えてくれとったんやね。でもなんで好きかは知らんやろ?」
「……………」
「光ちゃんの色やから」
「え」


意味が分からんことを言った謙也さんは、白石がなんで俺を光ちゃんに紹介したか分かっとらんやろ?俺が白石に頼んだんやで、てうちが大好きな笑顔で笑った。

「光ちゃんはテニスやっとるのに肌綺麗で真っ白やろ。唇は真っ赤でかわええし。それに今日はほっぺも爪まで真っ赤で可愛すぎてたまらん」
「先輩?」



「俺は光ちゃんが好きなんや」













その日はふたりで手繋いで一緒に帰った。

「ねぇ先輩」
「んー?」
「うちはカーマインが好きやけど、本間は謙也さんの好きな赤のが好きで、もっと言うと謙也さんが大好きなんですわ。知ってました?」
「…!光ちゃーん!!」


頭のてっぺんから足の先まで、今日もうちは、あなたに染まってます。




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