◎鳳視点 部活の帰り、日吉と一緒にショッピングモールに寄った。今日発売のクラシックCDがあったんだよね。どうしても欲しくて。日吉も部活用品とか買いたかったみたいで、文句一つ言わずに付いてきてくれた。ありがとう日吉。買いたいものはお互い購入したけど、せっかくだから洋服とかも見て行こうとショッピングモールを回っていたら、日吉が珍しく立ち止まった。 日吉には似合わない、女性向けの雑貨屋さん。ヘアアクセサリーや可愛らしい雑貨でキラキラしている雑貨屋さん。日吉の視線の先には、うさぎの雑貨コーナー。あ、そっか。名字さんの周りにはいつもうさぎグッズが溢れていたっけ。たしか、誕生日がもうすぐだって聞いた覚えがある。 熱心にうさぎグッズを選ぶ日吉。うさぎのぬいぐるみを手にとったり、うさぎの手帳を手にとったり、うさぎのブランケットを手にとったり。うん、日吉ってうさぎ似合わない!選ぶ日吉の表情はとても穏やかな表情をしていた。彼女のこと考えながら選んでるんだろう。 とても幸せそうだ。一生懸命プレゼント選んでる日吉、かわいい。写真に撮って先輩たちに送りつけたい気分。怒られるから絶対にしないけど。名字さんが「若くん愛しい」とよく言っている気持ちが少しだけわかった気がする。とても微笑ましいもん。 そんな穏やかな日吉を少し離れた距離でにこにこしながら見ている俺。日吉が俺に気がつく様子はない。プレゼント選びに夢中だ。これはきっと、俺と一緒に来たこと忘れてるな。きっとじゃない、絶対にだ。 「ひーよーしっ!」 「!…あっ、これは」 「プレゼント、ブランケットにするの?もう結構寒くなってきたし、これからの季節にぴったりだね!」 「………鳳、さっき御手洗いに行きたいなって言ってたよな。この雑貨屋の隣にあるぞ。行ってこい。」 「えーそんなこと、」 「言ってた。いいから行ってこい」 「はーい。出てくる前に済ませておいてね」 真っ赤な顔してそんなこと言うもんだから、仕方なく御手洗いに向かう。買ってるところを知り合いに見られたくないんだろうな。かわいいやつめ。普段の日吉からは考えられない。それだけ名字さんが大好きなんだ。名字さんは幸せ者だよ。恋愛話ってあんまり好きじゃないんだけどさ、俺にもそうやって想える相手が現れたらいいなあって思った。 幸せってこんな色だろう しばらく経って日吉の元に戻ると、ムスッとした顔をして左手に可愛らしくラッピングされた紙袋をぶら下げていた。あまりにも日吉が可愛らしくて、笑ってしまったら頭を叩かれた。日吉がこんなに頑張ったんだから、名字さんが喜んでくれますように。祈らなくてもきっと喜んでくれるんだろうけどね。 15.1024 title:sappy - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 1023!ハッピーバースデーUSF! 遅くなってしまったけど! |