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attention!リョ桜要素含みます




越前は竜崎さんのことが好きだ。竜崎さんの前ではクールぶってカッコつけてるつもりだろうけれど、ふとした時に見ていたり、話した後に嬉しそうだったり。堀尾に聞いたところ、教科書なんかを忘れた時は、借りに行くみたいだしよー。きっと好きなんだと思う。きっと越前は誰にもばれてないって思ってるだろうけど、行動をみればバレバレだっつの。レギュラーや部員たちもほとんど分かっていると思う。分かっていないのは手塚部長くらいじゃねーか?




「桃や〜、名字は今つらいっす」
「まあ、そうだろうな 」
「越前も桜乃ちゃんも大好きだから、幸せになって欲しいって思うんだよ、でも…でもね、私は、私もね、幸せになりたい」
「ふーん」





空が赤く染まり誰もいなくなったテニスコートで、そう話すのはマネージャーの名字名前。俺と同じ2年。今の会話でわかると思うけど、こいつは越前のことが好きだ。越前から竜崎さんについての相談を受けるこいつはよく苦しんでいる。好きな人から恋愛相談受けるほど悲しいもんはねーよな。自分は恋愛対象として、見てもらえてないって実感しちまうもん。告白してないけど、振られてるような?俺の前では弱いところをよく見せるけど、越前の前では笑って相談聞いてやってんだ。竜崎さんに対して素直になれず落ち込んでる越前に対して、「頑張って、応援してるよ」って励ましてんだ。越前の前では決して弱い自分を見せない名字。本当強いなあって思う。

俺は強くないから顔に出ちまってるもん。絶対に今、カッコ悪い顔してる。応援してるなんて言えねーな、言えねーよ。




「諦めるべきだよね私」
「そうだな。諦めろよ。って俺が言っても諦めらんねーだろ?」
「…うん」
「俺はお前みたいに心広くねーから、頑張れー!お前なら越前と付き合えるぜ!なんて応援はしてやれない」
「…そっか」
「気がすむまで想えばいい。越前のこともういいやーって思えるようになったら、俺のこと好きになって幸せになりゃいーじゃん」
「…桃?」
「俺、名字のこと好きだよ。きっと1番名字のこと想ってるの俺だから、必ず幸せにする。ちょっと時間はかかりそうだけど、名字の気がすむまで待っててやんよ」




キョトンとしている名字の頭を撫でて、帰り道へと足を進める。あーあ。我ながら小っ恥ずかしい、カッコ悪い告白しちまったぜ。

ああでも言わねえと、きっと気づかねーだろ?ずっと名字が越前のこと好きなことを知ってるからこそ、少し俺のことも見てほしかったんだ。恋愛対象として。
ちらりと後方でしゃがむ名字の姿を見れば、呆然としながら真っ赤な顔を抑えているようだったから、効果はバツグンなんだろう。

俺にも幸せが少しずつだが近づいてるような気がして、嬉しくなったから口笛を吹きながら帰ることにした。きっと俺の顔も真っ赤なんだろうなあ。




15.0624





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