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らしくないことをした。

ずっと好きだった先輩がバイトを辞めることになった時、みんなで渡したメッセージカードにわからないよう、縦読み文字で「大好きでした。」なんて書き込んで。自分らしくない、思い出すたび恥ずかしくなるようなことをしてしまって、もう半年ほど経つ。


今日その先輩の誕生日だ。


縦書きメッセージは結局気づかれぬまま、時が過ぎ去ってしまった。先輩がバイトを辞める前に、想いを伝えたいと思ってした行動だったけれど、こんなことなら直接想いを伝えれば良かったなあって今になって後悔してる。もう諦め半分だけれども。




宛先:向日 岳人 先輩
件名:おめでとうございます
−−−−−−−−−−−−−−−−−−ー
岳人先輩、誕生日おめでとうございます!
23歳、楽しんでください。


社会人生活はいかがでしょうか?
またお店に遊びにきてくださいね。
今度飲み会でも開きましょう!





「送信…っと」





震える指で送信ボタンを押す。
諦め半分とか言っても、結局大好きなんじゃん。
ずっと連絡していなかったし、ずっと会ってないからかな。おめでとうのメール送るのにも緊張するなんて。私は本当に岳人先輩が大好きなんだと思う。諦めようと思っていても、心は正直なようだ。





「うん、諦めるのやめよう。振られたら振られたでいい。諦めない」
「何を諦めないって?」





声のした方を振り向けば、そこには岳人先輩。突然の想い人の登場は心臓に悪い。岳人先輩は走っていたのか少し息が上がっているようだった。よっ、久しぶりって笑う岳人先輩は相変わらずで、なんだか泣きたい気分だ。顔をみることができない。





「メールありがとうな」
「どう、いたしまして…」
「なあ、」
「はい…?」
「あんなの、気づくわけねーじゃん」
「えっ…」
「…縦読み文字なんてわかんねえよ。さっき侑士に言われてやっと気づいた」






(がっくんがっくん、これ気づいてた?)
(あ?なんのことだよ?)
(がっくんのお気に入りの子からの秘密のメッセージ)







熱が顔に集まっていくのがわかる。
近々告白しようと思った矢先に、気づかれるだなんて思っていなかったものだから。恥ずかしくて岳人先輩の顔が見れない。きっと耳まで真っ赤だ。





「諦めなくていいからな」
「へ、」
「つか、諦めんな」




バッと手を引っ張られて、抱きしめられる。驚いて顔をあげるとそこには真っ赤な顔した岳人先輩。バイト先ではいつも明るくて、たまにクールな岳人先輩だったから、初めてこんな岳人先輩をみた。





「俺も、お前のこと大好きだよ。だから、諦めんな。というか、付き合ってください」
「あの、」
「あー、本当告白とか苦手。俺だって、ずっとお前のこと想ってたんだからな。社会人なって、会う機会なくなっちまったけど、それでもずっと好きだった」
「岳人先輩…、」
「だから、直接気持ち聞かせてくれねーか?」







精一杯の背伸び
(私も岳人先輩が大好きです)






130912
title:夕凪
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がっくんお誕生日おめでとう。
大人がっくんにしてみました。
がっくんは告白とか苦手そう。
けど言う時はしっかり言う
男前のイメージがあります。






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