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おひさまがやさしい日の続編



「なぁ名前、お前今日すっげえ機嫌悪いよな、どうしたんだよ?」




まさか原因である聡史自身からそんなことを聞かれるだなんて思ってもいなかったから、びっくりするのと同時に私の中の聡史へのいらいらが増した。


昨日、桜乃と遊びに行っている時に私は見てしまったのだ。聡史が朋香と楽しそうに並んで歩いているのを。桜乃は気がつかなかったみたいだったけれど、確かにあれは聡史と朋香だった。


付き合ってもうすぐ半年で、付き合ってからは名字で呼んでいたのをお互い名前で呼び合うようになったし、部活の帰りには恋人繋ぎというものをして帰るようにもなった。付き合ってから聡史のことがより大好きになっているし、私としては順調なお付き合いをしていると思っていたんだけれど。聡史は、私が嫌になっちゃった、のかな。そういえば私達、ぎゅーっとすることはあっても、キスはしたことがない。




「別に何でもない」
「何でもないわけないだろ〜。超怒ってんじゃん」
「じゃあ聞くよ?」
「どーぞ?」






「昨日なんで朋香と一緒にいたのかな?」







*  *  *




お風呂を上がって、部屋に入ると、すぐに私はベッドへと倒れ込む。私はまぶたを閉じて、思い出した自分の言った言葉に後悔した。


聞いちゃいけなかったかもしれない。


尋ねた後の聡史の顔からは、明らかにやべえ!と書いてあるのが読み取れて、その場で泣き出しそうな気分になった。やべえ!ってことはやっぱりやましいことがあるってことなんでしょう?



「明日!明日まで待って!」



という聡史の言葉はどういう意味が含まれているのか、腹が立っていた私には理解することは到底出来なかった。明日、別れ話でもされてしまうのかな、と考えながら、私は気がつかないうちに眠りについていた。




*  *  *





「おはよ!名前!」



休日にも関わらず、朝早くから鳴り響いた呼び鈴に対応するため、外へと出ると、私が悩んでいるのが馬鹿らしくなるくらい、爽やかな笑顔を浮かべた聡史がいた。




「聡史…。何の用?」
「朝一で渡したかったから」
「はい?」
「俺な、お前のこと小学生から知ってるけど、まだ名前の好きなものとか、嫌いなものとかよくわかってないんだ」
「はあ?」
「まあいいから聞けよ。俺ら今日で付き合って半年じゃん?」
「(あ…)」

「だから何かプレゼントしたくて、自分なりに何がいいか考えたんだけどよ、好みわかんねーから、全然浮かばなくて…」
「で、小坂田に相談したら、欲しい物知ってるって言ってたから、買うのに付いてきてもらったんだ。だから隠してたんだよ」




照れ臭そうに笑う聡史の手には、私の好きな雑貨屋さんの小さな袋があった。ほらよ、と渡された小さな袋を開くと、中にはずっと欲しかった、かわいらしいネックレスが入っていて、私は思わず聡史にぎゅーっと抱き着いていた。




「わ…、なんだよ!」
「あーもう。ごめん聡史。浮気されたんだと思ってた」

「…ばーか。んなこと絶対しないっつーの。やっと……両思いになれたんだからよ」




私が胸元で呟いた言葉に対して、聡史は頭を撫でながらそんなこと嬉しいことを言うもんだから、顔を上げてみるとそこには私が告白した日みたいに、真っ赤な顔をした聡史がいて。



「ふふ、聡史、顔真っ赤だよ」
「うっせ」



思わず笑ってしまったけれど、それも聡史から口を塞がれることによって出来なくなる。唇から伝染していくように、私の顔も真っ赤になっていった。



title:etoile
12.0420
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これ誰やねん。
堀尾じゃない…






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