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「今日も頑張ってるなぁ、宍戸くん」



朝早くからテニスコートで跡部くんと打ち合いをしている、青い帽子を被った宍戸くんを見ながら呟いた。

私の毎日の日課は、朝早く学校に来て、花壇の花のお世話をすること。

本当は美化委員さんの仕事らしいのだけれど、担当の美化委員さんが世話をしてくれず、注意してもなかなか聞かないため、跡部くんに頼まれて、生徒会の書記である私が担当することになった。お花を育てることも早起きも大好きだから、担当になれてよかったと思う。

それともう1つの日課が、花壇の近くにあるテニス部が練習しているテニスコートを眺めること。大会に向けて練習に励む部員さん達の姿を見るのが好きなのだ。

特に目を引くのが、先程名前を出した宍戸くん。よくわからないのだけど、いつの間にか目で追うようになっていた。たまに目が合うと、ちょっとだけドキドキしてしまう。




「ちょ、おい跡部、何やってんだよ!」




という宍戸くんの声が聞こえた後、私の靴にテニスボールがトンっと当たった。きっと跡部くんがホームランを打っちゃったんだろう。珍しいなあ……、なんて考えていたら宍戸くんがこちらの方へと近づいてきていたから、足元のボールを拾い、宍戸くんの方へ近づいた。



「はい、ボール」
「お!わざわざありがとうな!ボール、名字に当たったり、花壇に入ったりしなかったか…?」
「えと…転がってきただけなので大丈夫でしたよ」
「ならよかったぜ!」




宍戸くんとお話するのは初めての経験だからか、妙に緊張してしまう。名字を覚えられてると思わなかったから、ちょっぴり嬉しくなった。




「…ここの花壇、名字が世話してるんだな」
「あ、はい!お花を育てることが好きなので、担当になりました!」
「テニスコートからいつも見えるんだけどよ、生徒会で忙しいのに、毎日毎日朝早くから水やりに来て、名字すげえな」
「部活動に励む皆さんに比べたら、全然すごくないですよ」
「いや、俺はすげえって思うぜ!綺麗な花が育つといいな!」
「は、はい!がんばります!」
「んじゃあ、俺コート戻るわ。また話そうな!」




ニカッと笑って去っていく宍戸くんがなんだかかっこよく見えて、頬っぺたがだんだん熱くなっていくのが自分でもよくわかる。


(えええ、なんで私の顔赤くなってるの…!)



頬を触れば熱を持っていて、胸に手をあててみれば、案の定いつもより早く打つ鼓動を感じた。



(私…もしかして………)




いつしか恋になりました
(宍戸くんに恋してる…?)


((…跡部のやつ…わざと打ち上げたな……!))
(お!おかえり宍戸………ってお前、顔真っ赤じゃねぇか!なんかあったのかよ?)
(うるせえ!なんでもねえから黙ってろ岳人)
(クソクソ教えろよ!)





title:zinc
11.0705
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初宍戸






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