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ぐるぐるぐるぐる。
頭を浮かぶのは今朝の菊丸くんの言葉。

本日11月28日は菊丸くんの誕生日です。

みんなのアイドルである、青学テニス部のレギュラーの1人だった菊丸くんはそりゃあ大人気なお方で、今日はたくさんの人が彼を祝った。中学1年生の時からずっと彼が好きな私も、今年こそはその内の一人になる予定だった。

中学生になって3年間菊丸くんと同じクラスだが、去年と一昨年の誕生日は、菊丸くんと話す機会もなければ接点もなく、見てることしかできなかった。でも今年は違う。今年になって、初めて菊丸くんと隣の席になり、やっと仲良しになれたのだ。

プレゼントも用意したし、下手くそだけどクッキーも作った。今朝までは祝う気満々だったのである。

現在、夕方。未だおめでとうも言えなく、綺麗にラッピングされた、菊丸くんが好きな色のリストバンドと、不格好なクッキーが、かばんに入ったままなのは、今朝偶然聞いてしまった菊丸くんの言葉と、私が弱虫なのが原因でしょう。





「お祝いありがとう。だけどごめんにゃ…。今年はプレゼントは受け取れないよん…」




寝坊して遅刻しそうになって、近道に通った校舎裏で、菊丸くんがプレゼントを差し出していた女の子に、そう答えているのを聞いてしまった。悲しそうな女の子の顔が忘れられない。

こっそり不二くんに菊丸くんが女の子から、プレゼントを受け取らない理由を聞いたみたら、




「英二、今年は好きな子からのプレゼントしか、受け取らないんだって」





と楽しそうに教えてくれた。
好きな人から祝ってもらえたら、その子に告白、する、らしい。ああ思い出すだけで悲しくなる。菊丸くんから想ってもらえる子はうらやましいなあ。3年近く片想いしてきて、呆気なく失恋とか悲しすぎる。



「これどうしようかな…」




誰もいない教室で、かばんからあげる予定だったリストバンドを取り出しポツリ呟く。菊丸くんとお話した時に、菊丸は赤が好きだと言っていたから、赤色で星の模様の入ったリストバンドを買った。星の模様の理由は、菊丸くんってキラキラした男の子だからピッタリかなって思って。




「…つけてもらいたかったな〜…」
「なーにーがーっ!!」
「うわあ!びっくりしたよっ………って菊丸くん!」




後ろからドンっ!と背中を押されて、びっくりした後に振り向くと、そこにはニシシっと、意地悪な顔で笑う菊丸くん。頭に少し雑に作られた冠とほっぺに少しクリームがついているから、テニス部でお誕生日をお祝いされていたのかもしれない。




「菊丸くん、ほっぺにクリームがついてるよ」
「うわ、本当だ!ありがとうにゃ〜!」
「まだ、テニス部でのお祝いの途中じゃないの……?」
「うーん…不二がね、名前ちゃん教室にいるから、行っておいでよって言うから抜け出してきちゃったにゃ!」
「へ」
「うわあ…!このリストバンドかっこいい…!」





どうして私?と聞こうと思ったが、菊丸くんのキラキラした声に遮られる。どうやらリストバンドを気に入ってくれたらしい。嬉しいんだけど、あげたいんだけど………ね。




「それね、菊丸くんにあげる予定で買ったんだよ」
「え!まじ!?誕生日覚えててくれたの?嬉しいにゃ〜!もらってもいい?」
「…え」
「え、だ、ダメかにゃ…?」
「…………だ、だって菊丸くん、今年は好きな子からしかプレゼント………もらわないんでしょ?」




そう尋ねれば、菊丸くんの顔が少し赤くなる。やっぱり…好きな人のプレゼントしか受け取らないって、本当だったんだなあ。菊丸くんは、俯きながらぶつぶつと何かを呟く。




「(決心してからここに来たのににゃ〜…)」
「?」
「(告白ってドキドキする…)」
「???…あの、」
「名前ちゃん!」
「は、はい!」







「俺ね、名前ちゃんのことが、大好き……なんです…」




中1のころからずーっと、ずっと…ね?

私の驚いた瞳に映るのは、真っ赤な顔をした菊丸くん。窓から覗く夕焼けの空よりも真っ赤だから、きっと嘘ではないんだろう。私の顔もきっと真っ赤だろう。




「私だって大好きだよ…」




と泣きそうな声で言えば、生クリームの香りがふわっと香って、やわらかいものが私の唇にちゅう、と触れた。





日だまりの足跡
(菊丸くんお誕生日おめでとう)


唇が離れた後にそう言って、リストバンドとクッキーを渡せば、キラキラの笑顔でありがとう!と言われた。





title:ひよこ屋
111128
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菊丸くんおめでとう!
主催しました菊丸誕企画、「ねこいろ」に提出しました!

意味わからない文章になりましたが、愛はたくさん詰めました!要するに2人はずっと両思いだったんだよっていうお話です!

英二くんおめでとう!





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